書影『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)
尾形哲 著

 つまり、そういったバトルがあちらこちらで発生し、めちゃくちゃに破壊された家がたいへんな数に上り、免疫細胞による「炎症」という“被害”が大きく広がっていってしまうことになるわけですね。

 なお、脂肪肝や脂肪肝炎の「炎症」においては、免疫細胞の中でもとくにマクロファージが大きな役割を果たしています。もともと体の中でマクロファージがいちばん多く集まっている臓器が肝臓であり、脂肪という「よそ者ども」が大きな顔をして毒を吐き出すと、たくさんのマクロファージが駆けつけてくるというわけです。

 しかも、最新の研究によると、このマクロファージたちは、肝臓の脂肪化が進んでいると免疫反応をより先鋭化させることが分かってきたのです。これは、「毒を吐き出したたくさんの脂肪」という敵を目の前にすると、マクロファージがより攻撃的になって暴走しやすくなるということ。マクロファージの暴走によって引き起こされた炎症は、肝細胞という家々をどんどん破壊していってしまいます。