飲み物を飲む男性写真はイメージです Photo:PIXTA

私たちは知らず知らずのうちに、肝臓に危険な「果糖ブドウ糖液糖」を摂っている。「皮をむいたオレンジはOKだけど市販のスムージーはNG」だと話す著者が、果糖の適切な摂取方法について解説する。本稿は、尾形哲『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

身近な食品は危険な
「果糖ブドウ糖液糖」だらけ

「果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)」の怖ろしさについて、みなさんにぜひ知っていただきたいと思います。これはたいへんタチの悪い精製糖質であり、困ったことにわたしたちの食生活にどっぷりと入り込んでしまっているのです。

 名称に「果糖」という単語は入っているものの、フルーツはカケラほども入っていません。果糖ブドウ糖液糖は、トウモロコシから果糖成分を抽出して酵素や酸を加えて人工的に精製した液体で、果糖の割合がブドウ糖より多いもの(果糖割合50%以上90%未満)です。

 果糖ブドウ糖液糖は、甘味やおいしさを引き出すため、幅広い食品に大量に使用されています。とくに甘い飲み物の場合、ほとんどすべてと言ってもいいくらいの商品に果糖ブドウ糖液糖が使用されています。

 また、非常に多くの加工食品にも果糖ブドウ糖液糖が使用されています。ちょっと使用されている食品を思いつくまま挙げてみましょう。カップ麺、スナック菓子、菓子パン、ケーキ、クッキー、ドーナツ、プリン、ゼリー、甘いヨーグルト、アイスクリーム、ソース、ケチャップ、ドレッシング、麺つゆ、だし、即席スープ、焼鳥や焼肉のたれ、カレーやシチューのルー、納豆のたれ……。

 このように、わたしたちが普段食べているものの多くに、果糖ブドウ糖液糖が加えられているのです。なかには、味覚として「甘い」と感じないような食品にも“隠し味”のように添加されていて、いかに果糖ブドウ糖液糖が幅広く便利に使われているかがお分かりいただけることでしょう。

果糖は糖の中でも
ひときわ肝毒性が強い

 果糖ブドウ糖液糖がこんなにも多くの食品に使われているのは、次のようなメリットがあるからです。

(1)砂糖よりもはるかに安価である
(2)砂糖よりも甘味が強く、少量加えただけで食品がおいしくなる
(3)液体のため、混ぜて加工しやすい

 つまり、安く、手間をかけず、甘くておいしいものができるというわけで、製造者にとっては「いいことずくめ」。製造者サイドは、まるで「便利でおいしい魔法の液体」を得たかのように、何にでもこの人工の精製シロップを入れてしまっているところがあるのかもしれません。