ジュースを飲む女性たち写真はイメージです Photo:PIXTA

みんな大好きな「甘い食べ物」には果糖がいっぱい。そして、この果糖こそが、肝臓に甚大なダメージを与える最大の「毒」である。肝臓専門医が果糖のヤバさに警鐘を鳴らす。本稿は、尾形哲『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

果糖こそが健康に害を及ぼす
「悪玉糖」である

「果糖の怖ろしさ」について述べましょう。

 みなさんの中には、「果糖」に対して「体にいい糖」のようなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。おそらく、フルーツにフレッシュで健康的なイメージがあるため、「フルーツに多い糖=果糖」は、わりと健康にいいものなんじゃないかと思うのかもしれません。

 しかし、その“健康的イメージ”は、もうこの場できっぱりと捨て去ってしまうほうがいいでしょう。そして逆に、「果糖こそは健康に害を及ぼす『悪玉糖』である」と、認識を改めることをおすすめします。

 ただ、先にちょっと「おことわり」を入れておくと、果糖が悪玉糖であるとはいえ、オレンジ、バナナ、リンゴなどのフルーツをそのまま皮をむいて食べたりする分には、そう大きな問題はないのです。むしろ、そういうかたちでデザートに少量のフルーツを食べるのであれば健康にいいとさえ言えるかもしれません。

 ところが、こうしたフルーツから繊維を取り去ってゼリーや液体にしてしまうと、とたんに肝臓に直接大ダメージをもたらす怖ろしいヤツに変身してしまうのです。

脂肪肝や糖尿病に陥って
大きな後悔をする前に

 それと、果糖は別にフルーツだけに入っているわけではありません。甘い飲み物や加工食品などに甘味成分として加えられている果糖ブドウ糖液糖は、「果糖」という名を冠してはいるものの、フルーツとはまったくもって無関係であり、主にトウモロコシを原料にして果糖成分だけを抽出してつくられた「人工の精製液体シロップ」です。

 ここで「悪玉」扱いをしている「果糖」も、どちらかというと、「トウモロコシからつくられた果糖の多い精製液体シロップ」のほうをメインの対象にしていると思っていただいてけっこうです。とりわけ、甘い飲み物に大量に含まれた「果糖の多い精製液体シロップ:果糖ブドウ糖液糖」は、肝臓にとって“毒”に等しいと見なすくらいのほうがいいと私は考えています。