水分補給をする男性写真はイメージです Photo:PIXTA

肝臓について、多くの人は「酒好きの人が壊してしまう臓器」程度の知識しかないのではなかろうか。だが、糖質の摂りすぎが主因の脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)は、放っておくと心筋梗塞や脳梗塞といった致命的な病につながるリスクがある。たとえば運動後に一気飲みしてしまう、500mlのペットボトル1本分のスポーツドリンクは、スティックシュガー約10本分もの砂糖が含まれている危険な飲料なのだ。本稿は、週刊新潮編『名医・専門家に聞く すごい健康法』(新潮社)のうち、精田紀代美歯科衛生士の執筆箇所を抜粋・編集したものです。

「脂肪肝」が怖い生活習慣病を
ドミノ倒しのように引き起こす

 心地よく身体を動かし、汗を流して心身ともにリフレッシュする。健康を意識し運動を日課にしているあなたは、その締めくくりとして、ペットボトルのスポーツドリンクをごくごくと飲んで喉を潤す。渇き、火照った身体に沁みわたる至福の1本――。

 極めて“健康的”な生活のワンシーンに映るかもしれません。しかし、日本肝臓学会専門医である私からすると、この“健康習慣”はお勧めできません。なぜなら、それは健康の要である肝臓を「脂肪まみれ」にする危険性を孕んでいるからです。

 肝細胞の中に脂肪が溜まり、肝臓がフォアグラ状態になる脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)は「万病のもと」と言えます。高血圧、糖尿病、脳血管障害、脂質異常症……。こうした生活習慣病は、脂肪肝を起点としてドミノ倒しのように引き起こされていくのです。