「FIB-4 index」で
肝硬変リスクの程度を把握する
ただ、気をつけてほしいのは、この信号ランプがいつ「黄色」から「赤」へ変わるか読めない点なのです。それというのも、脂肪肝炎が必ずしも「脂肪肝がかなり進行してから起こる」ものだとは限らないからです。
もちろん、長い月日をかけて脂肪肝が進み、相当量の脂肪蓄積が進んでから脂肪肝炎になる「じっくり進むパターン」も多いのですが、一方で、脂肪肝になってからまだ日が浅く、脂肪化の程度が軽いにもかかわらず脂肪肝炎になってしまう「一気に進んでしまうパターン」もあるのです。
つまり、黄色ランプがついて長い時間が経ってから赤ランプが点灯する場合もあるし、黄色ランプがついてすぐに赤ランプが点灯してしまう場合もあるということ。これでは、いつ赤ランプがつくか分かったものではありません。
ですから、そういう点では「脂肪肝の黄色ランプ」がついた時点で、誰もが肝硬変への危機意識を持つべきなのです。すなわち、健康診断などで脂肪肝と指摘されたなら、脂肪の蓄積程度に関係なく「自分はもう、いつ脂肪肝炎の赤ランプがついてもおかしくない状態」だと思ったほうがいい。そのうえで、「自分はすでに肝硬変の予備群なんだ」というくらいの危機意識を持つほうがいいのです。
おそらく、ここまで読んできて「自分の脂肪肝は、いまどれくらいマズイ状態なのだろう」「自分の肝臓はどれくらい線維化が進んでいるんだろう」と心配になってきたみなさんも多いのではないでしょうか。
そうした肝硬変リスクの程度を知るには、「FIB-4 index」と呼ばれる指標があり、最近は血液検査の肝機能の数値を入力すれば、ネットでも簡単に調べられるようになっています。
脂肪肝→脂肪肝炎→肝硬変の
「線維化」のステップ
私は、「肝硬変末期の肝臓」を体から取り除いて、そこに「健康な肝臓」を移植する生体肝移植手術が専門であるため、「肝硬変の肝臓」と「健康な肝臓」の怖ろしいほどのギャップを日常的に目にしてきました。
健康な肝臓は、表面がツヤツヤしていてしなやかな弾力があり、ずっしりとした質感があります。ところが、肝硬変末期の肝臓となると、表面全体がでこぼこ状のゴツゴツとした起伏で覆われ、弾力や質感が消え失せて、叩くとコツンコツンという音でもしそうな硬い石のような状態になってしまうのです。