日本だと西洋をトレースする時が多いと思うんですけど、この根本の、働くことへの考え方の違いみたいなのがあると思っているんです。端的にいうと、働くことに対して、使命とか、ミッションとかを考えるやり方が合わない人が日本には多いのではないかという仮説です。

 僕は、使命やミッション、目標だったり、「やりたいこと」を中心におく、というのが実はいまいちピンとこないのでは……と思っています。

 例えば、日本はもっと「茶道」「剣道」みたいに、道の概念の方があっているかもしれません。

 やりたいことがあるか、目標があるか、とかよりも、例えば職人が「自分はこれを、少しでも良いものにするために毎日研鑽しています」みたいな方が……日本人がグッとくる職業観というか。

「会社全体の方向性は、経営陣が決めるけど、社員である自分は与えられた仕事を完全にこなすのみだ」とか「その先に何があるかは興味ない。ひたすら自分が良い仕事をするだけだ」みたいなやつとか。

 良い悪いではないんですが、そのような働き方の方が、心理的にも落ち着いて仕事できたりするんじゃないかなあ、と思うんですよね。

 僕とかは、大きな目標、使命、ミッションがあって、そこに邁進する、というのに、なんとなく落ち着かなさを覚えるんですが、もしかして多くの人もそうかもしれないなと。

 なので「やりたいことを見つけて、それを自分の使命のようにして、自己実現しよう」みたいな発想のものをやろうとしても、「やりたいことなんて見つからないわ!」となるのではないかと……。

「やりたいことの有無」の前に「やるべきことを真剣に取り組んでいるか」

 というわけで、「やりたいことが見つからない」という人は、何をやるかとか、それがやりたいかどうかとかはかなりどうでもよくて、「今自分がやるべきことを、真面目に取り組んでいるかどうか」とかの方が、いいんじゃないかなあ、と。

 あと、やりたいことというのも「やっている時の体験が楽しい」と「モチベーションが高く、辛いことでも頑張れる」という二つの意味が入ってたりして、ごっちゃになっている人も多いです。

 やっている時の体験が楽しいことを「やりたいこと」だと勘違いしてしまうとキャリアでミスったりするかなあと。

「やりたいことを見つけようぜ」で悩む人をどんどん減らしていった方がいいかなーと思うので、引き続きこれは伝えていこうかなと思っているこの頃です。

 では!