ちょっとモヤっとするあの人の違和感は、発達障害グレーゾーンが原因かもしれません。1万人以上をカウンセリングしてきた専門家が、そんな違和感の正体と対処法について解説します。第5回は「グレーゾーンが疑われる上司」について、実際にあったケースをご紹介します。(ストレスマネジメント専門家 舟木彩乃)
「上司の発達障害疑惑」に悩む部下が増えている
連載5回目は、上司が発達障害グレーゾーンだった場合、部下がどのように対応すれば良いかについてです。
ここ数年、「上司がグレーゾーンかもしれない」という相談が増えています。
グレーゾーンの人たちの中には、突出したスキルやアイディアを持っていたり、ずば抜けた集中力で結果を出してきたりした人がいます。それらの能力を生かせるような職場環境に恵まれ、大きな成果をあげた結果、管理職になって部下を持つようになったケースも少なくありません。
しかし、仕事で素晴らしい結果を出すことと、部下への対応や管理の能力は、基本的には別物であるといえます。グレーゾーンの特性は、管理職としての業務と相性が良くないことも多々あります。ここでも事例を紹介しながら、グレーゾーン上司への対応方法について解説します。
会議が長すぎる上司Cさんのケース
Aさん(女性)は、ディベロッパー企業の経営企画部で事務的な仕事をしながら、同部の先輩Bさん(男性)と共に、経営企画部担当役員Cさんの秘書的なサポートも兼務しています。
Cさんはマーケティング部門で目覚ましい業績を上げ、会社に貢献をしたことで一気に役員に昇進した経緯があります。
Cさんが役員になって1年ほどたちますが、その間、経営企画部が主催し、開発部やマーケティング部、営業部などの主要メンバーが参加する会議が増えてきました。
会議は、開発候補地について意見を出し合うことが目的で、時間は60分と設定されています。しかし、具体的な開発候補地の名前が出て来ると、地理や歴史が大好きなCさんは黙って聞いていることができません。
発表者が候補地の土地柄などについて説明をする度に口を挟んでは、議論とは関係のない、その土地にまつわるマニアックな地理や歴史の知識などを披露し、長々と自分の意見を展開するそうです。