ちょっとモヤっとするあの人の違和感、発達障害グレーゾーンが原因かもしれません。1万人以上をカウンセリングしてきた専門家が、違和感の正体と対処法を解説します。第2回は「上司がグレーゾーンだった場合、部下はどうすべきか」について。書籍『発達障害グレーゾーンの部下たち』(舟木彩乃、SB新書)の中から実際にあったケースをご紹介します。(ストレスマネジメント専門家 舟木彩乃)
「上司の発達障害」に関する相談が激増中
職場で自分のやり方を押しつけてくる上司に悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
最近はカウンセリングをしていても「上司がグレーゾーンかもしれない」という相談が増えてきました。その多くは、パワーハラスメントをしている上司が、発達障害やグレーゾーンではないかと疑う内容です。
このような相談は前々からありましたが、2024年に入ってから一気に増加しています。今年に入ってから行政機関や民間企業でのパワーハラスメントの話題が相当増えており、連日のようにメディアで取り上げられていることも、相談が増えたことに影響しているのかもしれません。
パワーハラスメントを働いている人には、議員や首長など選挙で選ばれた人も含まれています。公職にある権力者のパワーハラスメントは、当然マスコミの取り上げるところとなり、報道をきっかけに類似する案件などが、行政、民間を問わず噴出することになります。
このようなハラスメントの背景には、実際に、上司の発達障害やグレーゾーンが関係していると思われることも多々あるのです。
優秀なのに昇進が遅かった「上司Sさん」
Sさん(男性40代)は、某メーカーのマーケティング部の管理職です。彼は、緻密なデータ分析を得意としており、自社製品の売り上げだけでなく、経理部門にも貢献してきました。