東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授によると、脳萎縮を抑えるため、また脳を活性化させるため「趣味」を持つことがお勧めだといいます。ではどんな「趣味」を持てばいいのか、ジャーナリストの笹井恵里子さんが聞きました。(東北大学加齢医学研究所教授 瀧 靖之、ジャーナリスト 笹井恵里子)

好奇心が強い人は
脳の萎縮を抑えられる

東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授/撮影:今井一詞

 認知症とは認知機能が低下していき、社会生活が送れなくなる状態です。そういうふうになりたくないと、脳に良いことを聞けば、熱心にそれに取り組む人が多いでしょう。ですが認知症になったら全てが終わりというわけではありません。検査では「健常」と「認知症」という明確な境界があるものの、生物学的にはその二つは連続していると考えられます。

 ということは、これまで脳には可塑性(変化する力)があるとお伝えしてきましたが、たとえ認知症になっても、場合によってはある程度は症状の増悪を抑えることも期待できるのです。

 ただし年を取ると存在している脳神経の細胞数が少なくなるため、その分、そこから変化する力もおそらく小さくなるのではないかと思います。それでも誰かと会話をしたり、楽器を楽しむなど、興味を持てることに取り組むことで認知機能の低下を抑制できるでしょう。

 そして、より若いうちに「知的好奇心」を持ってさまざまなことに取り組むと、より脳の健康が維持されます。知的好奇心とは、見たい、聞きたい、知りたい、行きたい、やりたいなどいろいろなことに興味関心を持つ、いつもワクワクときめいている状態です。実際に好奇心が強い人は、脳の萎縮を抑えられることがわかっています。

 第2回では、脳萎縮を抑えるため、また脳を活性化させるため「趣味」を持つことを勧めました。ではどんな趣味を持つとよいのか。