脱炭素化と財務リターンを“両どり”する債券投資戦略とは?【具体例で解説】写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

インパクト投資における「意図」

 われわれのクライメート・インパクト(CI)投資の目標は、財務リターンを犠牲にすることなく、実体経済の脱炭素化へのインパクトを達成することである。本稿では、インパクト投資における二つの柱のうちの一つである「意図」について、第7回で説明したクライメート・アロケーション・コンパス(CAC)の公募社債への適用方法を交えながら説明したい。

 インパクト投資における「意図」とは、投資家が財務リターンと並行して、測定可能な社会的または環境的なプラスの成果を生み出そうとする、意図的かつ積極的なコミットメントを指す。つまり、インパクト投資は、投資判断と整合的で明確な目的、測定可能な成果を必要とする点で他のサステナブル投資とは異なる。

 なお、もう一つの柱である「貢献」およびインパクト投資におけるリターンの確保の観点については次回(最終回)で述べる。

投資配分の考え方

 仮想のグローバル債券ポートフォリオを例に考えたい。まずCACを使って、脱炭素化が最も必要とされるセクターを特定する。CACは、ポートフォリオの半分以上をエネルギーセクターに、約3分の1を産業セクターに、残りをその他のセクターに配分する必要があることを示すだろう。

 われわれは単にエネルギーセクターにランダムに資金を配分するのではない。適切な水準の財務リターンが期待できる、脱炭素化への移行に向けたリーダー企業を選ぶ必要がある。