「インパクト投資」影響力アップの条件、資金使途の追跡がカギ写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

インパクトが伝達される三つのメカニズム

 前回に引き続き本稿ではクライメート・インパクト(CI)投資を取り上げる。投資家が投資対象資産ごとに企業に与えるCIの強さ、およびCIを高めるための条件、その際の留意点について考察する。

 CI投資を行う際に、投資家から投資先企業(そして結果として実体経済)にインパクトが伝達されるメカニズムは三つある。すなわち、企業のサステナブル(あるいは非サステナブル)な活動に関する、(1)調達コストの低減・増加、(2)流動性へのアクセスの改善あるいはペナルティー、(3)企業慣行の変革――であり、その影響力の大きさは投資対象資産ごとに異なる(図表1)。

 図表1を見ると、ローン投資家がいずれの項目においても、企業に対して大きな影響力を持つことが分かる。この理由は、ローンは主に中小企業向けであり、当該企業の資金調達手段がローンに限られる場合が多いためだ。ただしこの場合、借り手が比較的小規模の傾向があるため、インパクトの規模も限定的となる。

 つまり、企業に対する投資家のユニバースが少ないほど、投資家は投資対象企業に対してより大きな影響力を行使できる。逆に、投資家ユニバースが多数で分散されているほど、投資家の投資対象企業に対する影響力は小さくなる。