その1つは、アメリカという国が、団体の名称通りのターニング・ポイント、つまり分岐点にある時に、敵対する勢力との戦いに勝利し、その結果として、ある種の革命を成し遂げなければならないという理想郷を渇望する思いからかもしれない。
しかし、それだけには留まらず、他にも理由がありそうだ。この集会に参加している若者たちは、将来社会を牽引するリーダーになりたいと思っているようだ。彼らは、高学歴ではない人々を導くことも自分たちの使命と考えているからかもしれない。
彼らが目指す革命の到達点は、アメリカが本来あるべき保守の価値観を取り戻し、再び偉大な国になることだ。到達点は、彼らが忌み嫌う社会主義者とは真逆だ。
しかし、急進的な変化を希求する若者のエネルギーや情熱、そして大衆を導かなければならないという使命感には共通点を感じた。
保守派を取り巻く人種の
境界線が徐々に曖昧に
偉大なアメリカの復活を掲げるアメリカの保守勢力と言えば、マッチョな白人男性が出てきて星条旗を振り、「USA、USA」と絶叫するなどというのが、1つの典型的なイメージではある。保守派団体の集会に行くと多数を占めるのはやはり白人で、黒人やヒスパニックが過半数を占めることはない。
ただ、2016年の大統領選挙でトランプ氏を応援した保守勢力の動き、さらに遡って、2010年前後に動きが活発化した「ティーパーティ」(編集部注/2009年のオバマ大統領就任前後から顕著になった、民主党の「大きな政府」路線に反対する、保守系の草の根政治運動)あたりから、保守系の動きを取り巻く人種の境界線が徐々に曖昧になっていることには留意する必要がある。
依然として白人が主流ではあるが、他人種の取り込みが徐々に進んでいるのだ。保守系の各団体の集会やデモ行進に行くと、ヒスパニック、アジア系、さらには黒人など、白人以外の参加者が一定程度いるのを見かける。「ターニング・ポイント・USA」もその流れの中にある。
例えば、カーク氏は演説の中で次のように発言している。
「我々が求めるのは、もし、ある人が肌の色で他人を判断していたら、その人は人種差別主義者だと子供たちが教わる国です。我々は、その代わりに、人格を問うべきなのです」
この部分だけを聞くと、彼らが保守系なのかリベラル系なのか判別に迷ってしまうかもしれない。ただし、カーク氏は直前に以下の通り、保守思想にとってより重要なことを述べている。
「私が求めるのは、子供たちが、ジェファーソンやマディソンのことなどを教わる国です。リンカーンのことを教わる国です。独立宣言や憲法などの美しさを教わる国です」