「どんどん裕福になっていく人」と「どんどん厳しい生活を強いられている人」。その違いを生む、たった1つのこととは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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世界中で加速するある現象
この図を見たことがあるでしょうか。
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アメリカ経済には「K字型」の分かれ道ができていると言われています。
つまり、ある人たちはどんどん裕福になっている一方で、別の人たちはどんどん厳しい生活を強いられているのです。
この違いを生むのは「金融資産の有無」でした。
資産を持っている人たちはコロナ禍から早く立ち直って利益を上げていますが、持っていない人たちは家計が圧迫され、生活が苦しくなっているのです。
景気が良くなっているのは、ごく一部の人たちだけで、その他の多くの人たちは、景気が悪いまま取り残されているのが現状です。
K字型が表すように、先進国全体では、「持つ者」と「持たざる者」の間に深い溝ができているのです。
このような状況はアメリカだけではなく、世界中で起こっている現象です。
「寝そべり族」と
「ただ休んでるだけ」
中国や韓国でも似たような状況が起こっています。
若者たちは厳しい就職戦線や生活費の上昇に苦しんでおり、結婚や家庭の形成も難しい状態が続いているようです。
中国では、不動産バブルが崩壊して、経済が深刻な状況に陥っています。
若年層の失業率は一気に上昇して、大卒の50%近くが「仕事がない」と言われています。
高学歴の若者でも同じで、仕事が見つかりません。
競争社会に疲れた若者が公園で寝そべっているように過ごす「寝そべり族」という言葉が中国でも流行りました。
また、「プロ子供」という言葉まで誕生しています。
親の経済力に頼らざるを得ない状況で、親の仕事や家事を手伝って給料をもらう専業の子どもを揶揄(やゆ)した単語です。
韓国ではコロナ禍をきっかけに「ただ休んでるだけ」という状況の人が急増しています。
文字通り、「働いていないが積極的に求職活動もしていない」という人を指した言葉です。
統計では240万人を超えていて、韓国の全人口の5%に該当し、働ける現役世代の労働人口の約7%がこれに該当すると言われています。
その背景には厳しい経済状況の中で、若年層の満足のいく働き口が見つからないということが挙げられています。
こういった現象が全世界的に起きているのです。
ダラダラ暮らすのも「一つの手」か
その一方で、こんな時代だからこそ、
「少しずつ働きながら、自分の時間を楽しむ」
というのも一つの生き方です。
IT技術の進化で、ほどほどに働きながら家でネットフリックスを楽しんだり、趣味に生きる人生を送るのも悪くありません。
特に、身近に頼れるセーフティネットのある人たちは、無理にバリバリ働かなくても豊かな暮らしを実現する手段が増えています。
2025年時点のアメリカでは、年収1000万円でも生活が苦しく、資産を持つごく一部の人たちだけが豊かな暮らしを楽しんでいるという状況です。
中流層はほぼ消えており、裕福な層と厳しい生活をする層の二極化が進んでいます。
こうした分断は、テクノロジーによる影響も少なくありません。
たとえば、企業は人件費を抑えようとギグワーカー(Uberなどを利用してスポットで働く人)や契約社員を増やしているので、個人は不安定な雇用に晒されています。
テクノロジーが仕事を生み出す一方で、古い制度や仕事が減ることで新たな課題が生まれているのです。
今の経済は、好景気でも不景気でもなく、
「好調な人もいれば、不調な人もいる」
という曖昧な状況です。
そのため、先ほどの「K字型」のうち、どちらに進むかを自分で選ぶことが求められているのです。
そして、格差を乗り越えるためには、「ゆるストイック」に生きることが役に立ちます。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。