【知ってる?】成長が止まってしまう人だけが知らない「たった4文字」の言葉とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

【知ってる?】成長が止まってしまう人だけが知らない「たった4文字」の言葉とは?Photo: Adobe Stock

指導することはコスパ悪い

 近年の働き方や生き方に対する価値観の変化で、「格差」を助長しています。

 多様性が重視される現代では、「他人の働き方に干渉すること」がタブー視されつつあります。

 企業もコンプライアンスやハラスメントへの配慮を強め、指導や教育の場面で気を使うことが増えました。

 以前のような、積極的に人を引き上げる行為は減少しています

 今では、「意欲がある人にだけ教育のリソースを割く」という流れが一般化し、やる気が見えない人に関しては黙認するほうが「コスパがいい」といった風潮が強まっています

 企業は以前のように一律の教育制度を施すことはしなくなりました。
 結果的に、「本人次第」で格差が生じる環境が出来上がってしまったのです。

 このような時代背景において、「自己管理」の重要性は増しています
「自分の成長は自分で管理する」という姿勢が求められているのです。「自己管理」という4文字を知らない人は、成長が止まってしまいます

 ビジネス書の売れ筋にもこの変化が反映されています。
 かつてランキング上位を占めていたのは、「意識高めの自己啓発本」でしたが、コロナ禍では「寄り添い系」と呼ばれるリラックス志向の書籍が支持を集めました。

 しかしその後、揺り戻しによって、ビジネススキルやマネジメント、ロジカルシンキングといった実践的な内容の書籍が上位に戻ってきました

 これは、危機感を覚えた人々が密かにスキルアップに励み、マネジメントや実務知識を深めようとしている兆しと言えるでしょう。

 今の時代、他人に依存せず、黙々と自己管理をおこないながら継続的に成長する力が求められています。

 そのスタイルが、二極化する社会における「新しい自己防衛の形」として再評価されているのです。

人に知られず積み上げているもの

 ますます「自己管理」が求められる
 そんな話をしました。

 現在、再評価されつつある「自己管理型」の姿勢は、かつての「意識高い系」とは異なり、自分の活動を他人に押し付けるようなことはありません

「自分は自分、他人は他人だよね」

 と、割り切ることが根底にあり、それぞれが自身の価値観に従って行動することを大切にしています。

 他人の進捗や活動内容を知る機会はますます少なくなりました。
 特にリモートワークの普及によって他人の状況が見えにくくなっているからです

 また、個人の活動はかつてよりも「多面的」になってきています。
 副業や個人のプロジェクト、スキルアップの取り組みなど、各自がさまざまな側面で自分を高めようとしています。

 その内容は、仕事仲間や友人にも知られないことが多く、「密かに積み上げられている」という状況なのです。

 こうして、周囲からは見えにくい「隠れた努力」によって、着実に二極化が進んでいます。

 このように、現代では「自分にとっての最善を探る」という個人の自由が尊重される一方で、他人の行動が見えにくい状況が生まれ、結果として格差がますます進行しています。

 そして、多くの人々は自己の方向性に迷っている中、他人に依存せず、自分を律しながら黙々と成長を積み重ねることが必要とされる時代に入っているのです。

 以上で、日本で「ゆるストイック」が求められる背景については掴んでいただけたと思います。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。