リモートワークで「スローライフをする人」「ストイックに生きる人」。この先、広がり続ける圧倒的な格差とは?
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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黙々と「自分ルールで生きる」姿勢
価値観というのは、常に変わり続けるものです。
「がんばらなくていい」という考え方の限界が見えてきた中で、自分にルールを課し、黙々と努力を続ける姿勢が再評価されるようになっています。
コロナ禍では、「無理せずに、自分らしく生きよう」というメッセージが広まった影響で、仕事によるプレッシャーから距離を置く人が増えました。
1日中のんびりと過ごしたり、釣りやキャンプを楽しむ「スローライフ」が一時的に流行しました。
社会全体がこの考え方に「癒やし」を感じたことでしょう。
しかし、「がんばらない生き方」を選んだ人たちは、どこかで「無理をしないことが目的化」し、本来の目標を見失ってしまった部分もあります。
見えにくい状況で頑張る人たち
一方で、コロナ禍の空いた時間を積極的に活用し、自己成長に充てた人々もいました。
たとえば、英語やプログラミング、AIなどです。
これからの時代に求められるスキルの習得に力を入れた人が目立ちました。
あるいは、投資や副業に取り組むなどして、自己のキャリアの幅を広げようとした人たちもいたでしょう。
リモートワークが普及したことも手伝って、「周囲の行動が見えにくい」という状況下になりました。
すると、それぞれが独自の判断で行動し、スキルアップや新たな挑戦に没頭するようになったのです。
現代版・浦島太郎な状態とは?
そして、3年ほどが経過しました。
社会が正常に戻り、あらためて社会に目を向けたとき、自分と周りとの間に「大きな差」が生まれていることに気づく人も増えていると思います。
・職場の同僚が投資家になってFIRE(経済的自立と早期退職)を実現していた
・まったく異なるスキルや人脈を築いて兼業していた
・YouTubeやTikTokでインフルエンサーとして活躍していた
このように、知らない間に思わぬ格差が形成されていることに驚く声も少なくありません。
こうした状況は、「現代版の浦島太郎やアリとキリギリス」のようです。
コロナ禍で社会の表面的な動きがゆったりとした印象を与えていた一方で、実際には「見えない場所」で少しずつ努力を積み重ね、結果を出してきた人たちがいることに気づかされます。
そして、この差は単なる「意識の違い」にとどまりません。
収入やキャリアの安定性、人脈……。
さまざまな方面で「実質的な格差」となって現れ、見過ごせないものになっているのです。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。