【驚きの真実】どんな人でも「30代後半」で燃え尽きてしまう、たった1つの理由とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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20歳で身体が完成する
年々、「時がたつのが早い」と感じないでしょうか。
私たちは「人生100年時代」と言われる時代を生きています。
ただ、時間がもたらす感覚の変化や、加齢に伴う身体と精神の成長リズムに気づかずにいると、無意識のうちにそのワナにとらわれてしまうかもしれません。
人間の身体は18歳頃に完成します。
そして、「20歳ごろまでに人生の主観的な時間感覚の80%が終了する」とすら言われています。
その理由としては、「経験してきた分母の時間が増えることで時間感覚が薄まるからだ」という説があります。
加えて、身体の代謝が落ちることにより感覚が鈍化し、また新しい経験が減ることで脳が記憶を圧縮し始めるとも言われています。
脳がチャレンジしなくなる
さらに、「前頭前皮質」と呼ばれる脳の領域が、私たちの意思決定の司令塔として働いています。
前頭前皮質は、理性を司り、リスクを計算し、決断する能力を備えています。
その部位の発達が終わるのが、20代後半で、だいたい「28歳ごろ」だと言われています。
前頭前皮質が未発達なことが原因で、子どもや思春期の若者は失敗しやすく、いわゆる「黒歴史」を作りやすいのです。
この部位が成熟すると、理性的で安定した意思決定が可能になります。
しかし、前頭前皮質が発達を終えることにはデメリットもあります。
前頭前皮質が発達を終えると、「興味を持って新しいことに挑戦しよう」という探索行動が減少し、過去の経験に基づいた「効率的な行動」だけを取るようになります。
すなわち、大人は子どもよりも失敗しにくくなりますが、同時に新しいことに挑戦しにくくなってしまいます。
「28歳までの脳」はチャンス
これは私たちの脳の発達構造に根ざした自然な現象と言えるでしょう。
興味深いことに、こうした「身体と脳の成長のタイムラグ」が人類の進化に大いに貢献してきました。
多くの生物では身体と脳の発達はほぼ同時ですが、人間の脳は28歳まで未成熟であることは、進化的に大きなメリットがありました。
未成熟な脳は好奇心を持ち、新しいことに挑戦しやすい性質を備えています。
この特徴により、私たちは新しい土地に向かい、未知の動植物に触れ、数多くの試行錯誤を繰り返すことができます。
その結果、種としての存続に有利な経験を積むことができました。
つまり、人類の繁栄は、未成熟な脳による試行の積み重ねから生まれたと言えます。
「38歳が寿命」という説
また、生物には、それぞれ「自然寿命」という寿命の目安が遺伝子に刻まれています。
たとえば、ネズミは平均して2~3年、イヌは10~13年、ゾウは70年ほどと、それぞれの種ごとに決まった寿命があります。
この寿命の設定には、環境の変化に対応しやすいよう世代交代のサイクルが織り込まれているとも考えられています。
進化の過程でそれぞれの種が最も生存に適したライフサイクルを持つように、遺伝子がプログラムされているのです。
私たち人間にも「自然寿命」と呼ばれる生物学的な寿命が遺伝子に刻まれているとされています。
ある研究によれば、人間の自然寿命は「38歳」に設定されているようです。
科学技術の進歩や医療、栄養の改善により、人間の寿命は格段に伸びましたが、遺伝子に記された根本的な情報は短期間で変化するものではありません。
もともと人間は38歳程度で世代交代するように設計された生物だと理解すると、多くのことが腑に落ちるかもしれません。
たとえば、生物は通常、寿命が近づくと代謝を一気に落とし、活動量も減少させます。
同様に、人間も30代に入ると代謝が急激に低下し、徹夜や長時間の集中が難しくなり、体力の回復にも時間がかかるようになります。
30代後半で燃え尽きる理由
35歳あたりから突如やる気を失ってしまう人が増えるのも、38歳で寿命を迎える設計に基づいていると考えれば驚くには値しません。
老化の最初の兆候として現れるのは脳の機能低下であり、特に「意欲の低下」が最初に起こります。
つまり、人間は、
・ 18歳で身体が完成する(身体が大人になる)
・ 28歳で脳の発達が終わる(精神が大人になる)
・ 38歳で生物学的に寿命を迎える(次世代にバトンタッチする)
というようにスケジュールされた存在なのです。
この厳しい現実を理解した上で、自分の人生戦略を練ることが求められます。
「年齢に関係なく、何歳からでも成し遂げられる」
そのような言葉は、たしかに魅力的です。
しかし、「願望」と「現実」はしっかりと切り分ける必要があります。
限りある時間を冷静に見据えて計画を立てることで、残酷とも思える遺伝子のプログラムに対しても科学的な対策が可能になるのです。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。