![進化が始まる気候ファイナンス、投資家にとってチャンス到来の理由](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/8/6/650/img_86fc2a0d75c22524ab2b2a73061b3540229626.jpg)
「貢献」はCI投資の柱
本連載の最終回となる本稿では、前回の続きとして、インパクト投資のもう一つの柱である「貢献」と、財務リターンの確保について述べる。
インパクト投資における「貢献」とは、その投資がなければ起こらなかったであろうポジティブな効果を指す。われわれの債券ポートフォリオがクライメート・インパクト(CI)にこうした効果を与える蓋然性を有する背景には、以下の五つがある。
(1)クライメート・アロケーション・コンパス(CAC)による、科学的根拠に基づいたトップダウン分析が可能である。
(2)グリーンボンドの資金使途をプロジェクトレベルに至るまで分析し、よりインパクトのあるグリーンボンドを選択する(こうした取り組みがよりインパクトのあるグリーンボンドの発行にもつながる)。
(3)将来志向の気候指標を活用している(将来志向のデータは発展途上であるが、データの利用が増えるほど内容の改善も期待される。本連載第3~4回参照)。
(4)ネットゼロ達成の理想的な脱炭素資金配分と現状の配分のギャップに着目している(多くの投資家は、基準年と比較したポートフォリオの排出量の低減を目指している。こうした手法も有益であるが、われわれの手法は実体経済の脱炭素化をより直接的に支援するものだと考えている)。
(5)前述の4点に取り組む中で、企業、投資家、気候変動専門家、政策立案者、債券の引受先と連携し、CIに係るすべてのステークホルダーに関与することを目指している。