
近年、大都市や駅近の物件を中心に、住宅価格が庶民には買えないほど高騰している。特に2024年、東京23区の新築マンション価格は、中央値で見ても8940万円(不動産経済研究所調べ)にまでなった。日々の生活費や教育費を考えると、世帯収入の高いパワーカップルでももはや手を出せるレベルではない。首都圏および地方都市の住宅価格に一体何が起きているのか。※本稿は、野澤千絵『2030-2040年 日本の土地と住宅』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
庶民には手が届かないほど
高騰している住宅価格
近年、大都市都心や駅近の物件を中心に、住宅価格が庶民には買えないほど、高騰しています。
ニュースでは数億円以上という現実離れした価格が取り上げられているものの、実際のところ、どの程度、高騰しているのでしょうか。不動産経済研究所や公益財団法人不動産流通推進センターによるデータ等に基づきながら具体的に見てみましょう。
まず、首都圏と大阪府の新築マンション価格(図表2-1)は2023年の平均価格で神奈川県6069万円、都下(23区以外)は5427万円、埼玉県・千葉県・大阪府4000万円台と、10年前に比べて1.3~1.4倍の上昇でした。

一方で、東京23区の平均価格だけは、2023年に10年前の2倍近くの1億1483万円となっていました。
ただし、東京都心では、再開発等によって新規に供給された住宅には、1戸あたり数億円~数10億円もの富裕層向けの価格帯のものが含まれ、それが平均価格を大きく押し上げている面もあります。
そこで、東京23区の新築マンション価格の中央値(データを大きい順に並べた時の中央の値)を見てみると、2013年は5180万円でしたが、2013年には1.6倍の8200万円となっていました(図表0-1)。

また、専有面積の中央値は、2013年は71.1平方メートルでしたが、2023年には68.42平方メートルと少し狭くなっていました。