世帯年収1500万円でも
東京での生活は楽じゃない
新築マンション価格の中央値が上昇しているのは、地価や建設費の高騰、富裕層や外国人の購入意欲の高まりだけでなく、昔に比べて共働き世帯が増えたこともあります。
それなりの世帯収入があるパワーカップルには職住近接となる東京23区の新築マンションの需要が高いこともあり、デベロッパー側も、新築マンションの商品企画として、近隣の中古マンションの価格帯とパワーカップルがペアローンで買えるような価格帯を加味して設定している面も見え隠れします。
読者の方は、東京なら、地方に比べて収入の高い世帯が多いので、東京23区の新築マンションの中央値が8200万円でもペアローンなら買えるのでは?と思われるかもしれません。
確かに、世帯年収が1500万円を超えるようなパワーカップルも増えているといいます。夫婦ともに住宅ローンを組めば、購入可能な価格帯は高くなります。
しかし、共働きで世帯年収が1500万円であっても、「東京」に住むとなると、そこまで家計に余裕がある状況ではありません。東京ではスーパーに並ぶ食材も高く、ちょっと外食するにしてもそれなりのお値段がするため食費はかさみます。
経済学者で明治大学教授の飯田泰之氏は、東京・大阪などの大都市圏には確かに収入の高い仕事があるが、可処分所得から固定費(食費・住居費・水道光熱費等)を除くと自由に使えるお金、いわば「実感可処分所得」が少なくなるため、実はあまり豊かな生活を送ることはできない地域であると指摘しています。
国土交通省が「都道府県別の経済的豊かさ」として試算した興味深いデータがあります。このデータでは、中央世帯(都道府県ごとに可処分所得の上位40~60%の世帯)の可処分所得や基礎支出(食料費・住居費・水道光熱費)を試算しています。
その結果、可処分所得が高いのは富山県、次いで福井県、東京都、茨城県、香川県となっています。また、基礎支出が高いのは、東京都、次いで神奈川県、埼玉県、千葉県、京都府となっており、1都3県が上位4位を占めています。