住宅の購入をためらわせる
「東京的ライフスタイル」

 先ほどの「実感可処分所得」として見ると、東京都は47都道府県中42位となっています。東京には高い収入を得られる仕事がある一方で、生活に最低限必要となる固定費も高いため、一般的な世帯は経済的に豊かとは言えない面があるのです。

 ちなみに、「実感可処分所得」のワースト1は沖縄県、次いで青森県、長崎県、大阪府、大分県でした。

 さらに、固定費以外にも、「東京的ライフスタイル」の費用もかかってきます。

 例えば、子育て世帯は、周囲の家庭がこぞって子どもを様々なお稽古に通わせていて、中学受験に非常に熱心な小学校区も多く、周りと同じようにお稽古事や進路を選択する場合にはそのための月謝や塾代が相当かさみます。

 東京都内の多くの私立中学の入試がある2月1日は、クラスメートの大半が受験のためにお休みしているといった小学校も多く存在します。

 また、関西に比べて人口が多い割に自宅から通える距離に国公立大学が少なく、その分、有力な私立大学が多いこともあり、大学の学費が高いなど、教育費の負担が大きくなりがちです。

 こうしたこともふまえると、たとえパワーカップルであっても、東京23区の新築マンションは、日々の生活費や教育費に加え、月々に必要なマンションの維持管理費や修繕積立金のことを考えると、そうそう容易に手を出せるレベルではなくなっていると言えます(図表0-1)。

地方都市でマンション価格の
上昇が著しい札幌市

 では、地方の主要都市(札幌市、名古屋市、仙台市、広島市、福岡市)の新築マンションはどうなのでしょうか。

 全体的に見て、札幌市を除くと首都圏ほどの上昇率はなく、2023年でおおむね4000万円台、10年前に比べて1.1~1.2倍程度上昇といった状況でした(図表2-2)。

図表2-2同書より転載 拡大画像表示