認知症の一歩手前「軽度認知障害」
適切な予防や治療で回復する場合も
MCIは健常者と認知症との間のグレーゾーンであり、1年で5%〜15%が認知症へ進行するとされているが、16%〜41%は健常な状態に戻ることが判明している(日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」より)。
「MCIは認知症の一歩手前の状態であると言えますが、適切な予防や治療によって健常な状態へと回復することが可能です」
認知症の予防については、世界的に有名な疫学研究を紹介するLANCET委員会「認知症予防に関するエビデンス」が報告されている。
この表は、年代別にリスク因子を挙げて、改善に取り組めば認知症の予防につながる割合をそれぞれ示したものだ。最大45%のリスクを減らせることができるとされている。
「日頃からやってほしいことは、まずは生活習慣病の予防と治療です。MCIや認知症の発症には、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が大きく関わっていることが判明しています、運動の習慣をつけることも重要です。運動を行うと脳への血流量が増加して神経細胞を増やし、MCI・認知症の予防につながります。認知機能を低下させる原因である『うつ症状』になることを防ぐ効果もあります」
MCIから認知症への進行を防ぐには、早期発見と早期治療が欠かせない。「おかしいな」と思ったら早めに受診しよう。
(監修/高知大学保健管理センター医学部分室准教授 上村直人)