部下を傷つけまいと、まず褒めてからフィードバックする――その「やさしい配慮」が、実は指導をまったく届かなくしている。SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超える「にっしー社長」こと西原亮氏の著書、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに、誰でも「しごでき」になれる令和の仕事の基本を解説する。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

職場で嫌われる人は「まず、褒める」。好かれる人はどうする?

「褒めてから叱る」は、なぜ裏目に出るのか

フィードバックの定番とされてきた「サンドイッチ話法」――褒める、指摘する、また褒める――を実践している上司は多い。
しかし、この方法が機能しないどころか、逆効果になっているケースが後を絶たない。

最初に良いことを言われると、相手は期待する。
しかし、その後に厳しいことが伝えられた瞬間、前半の褒め言葉はすべて「ウソ」や「お世辞」に聞こえてしまう。
誠意のつもりだった言葉が、信頼を損なう言葉に変わる瞬間だ。

部下は、褒め始めた瞬間に「身構える」

最初に良いことを言われると、相手は期待します。しかし、その後に厳しいことが伝えられた瞬間、前半の褒め言葉はすべて「ウソ」や「お世辞」に聞こえてしまうのです。
部下は敏感です。上司が褒め始めた瞬間に、ああ、これは後で何か厳しいことを言われるなと身構え、心のシャッターを下ろしてしまいます。これでは、肝心の指導が届きません。


だからこそ、指摘はネガティブ・ファーストにするべきです。
最初に端的に、厳しい事実(改善点)を伝えます。そして、最後は必ずポジティブな言葉で締めくくるのです。
人間の印象は「最後」で決まるといわれます。どんなに厳しいことを言われても、最後がポジティブであれば、部下はよし、次は頑張ろうという前向きな気持ちで指摘を受け入れることができるのです。

部下は上司が思っている以上に、言葉のパターンを学習している。
「褒め+指摘」のセットを繰り返された部下は、褒められた瞬間に次の展開を予測し、心を閉じる。
その状態では、どれだけ丁寧に言葉を選んでも、指導の核心は届かない。

上司が「伝えた」と思っている言葉と、部下が「受け取った」言葉の間には、大きな断絶が生まれている。
その断絶を生んでいるのは、言葉の内容ではなく、言葉の順番と構造だ。

「届く指導」は、ネガティブ・ファーストで構造を変える

できる上司は、褒めと指摘を「セット」にしない。
まず端的に、改善点を伝える。
そして最後を、必ずポジティブな言葉で締めくくる。

人間の印象は「最後」で決まる。
どんなに厳しい指摘であっても、締めの言葉が前向きであれば、部下はよし、次は頑張ろうという気持ちで受け取ることができる。
「何を言うか」より「どの順番で言うか」――それだけで、指導の届き方はまったく変わる。

指導が届かないのは、部下の問題ではない。
言葉の構造を変えるだけで、同じ内容がまったく違う重みで伝わる。
それが、できる上司とそうでない上司の、見えにくくて決定的な差だ。

今日から試すなら、フィードバックの順番を「指摘→ポジティブ」に入れ替えることだけでいい。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)