ダイエットや英会話習得など、「今年こそ達成するぞ!」と決意しては、すぐにくじけてしまうことがないだろうか。なかには、「もう何年も同じ目標を立てている」という人も少なくないだろう。半年から1年は取り組まなければ変化が見られないこうした目標を達成するために、「毎朝1分日記をつける」ことが効果的だと提唱する人がいる。コーチングスクール「ホリシニクスアカデミー」学長で、1分朝活グループを主宰する三宅裕之氏だ。三宅氏の著書『奇跡が起きる 毎朝1分日記』では、「毎朝1分日記」に加えて、禁煙やダイエット、資格試験など、どのようなテーマも成功に導く「目標を達成するプラス1分日記」の方法も紹介している。その方法とはどのようなものか。本書の内容をもとに解説する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

毎朝1分日記Photo: Adobe Stock

毎年毎年、同じ目標を立ててしまう

 筆者は以前、ある女性雑誌をよく購読していた。しかし、ある時を境にその雑誌の購入をやめた。

 それは、大掃除の際に残していたその雑誌の表紙を見ていたら、年度は違えど全部「ダイエット特集」だったからだ。

 そして、その時の私は、「痩せたい」と思ってから1kgも減ってはいなかった。

 もちろん、その雑誌が悪いわけではない。雑誌に書いてあることを一つも実行しなかった筆者の責任である。

 しかし、「買っても無駄」と感じてしまった筆者は、以来その雑誌を買うことはなくなった。雑誌からするととんだとばっちりだ。

 しかし、筆者のような人は多いのではないだろうか?

 お正月に立てた目標を実現したためしがない人。毎年、ラジオの外国語講座のテキストを買ってそのままの人。「禁煙しなきゃ」とタバコを吸いながら考える人……。

 その「今度こそ変わりたい!」「できるようになりたい!」という思い自体は嘘ではないはずだ。一体どうしたら実現できるのだろうか。

「毎朝1分日記」に「プラス1分」すると?

 三宅氏が提唱する「毎朝1分日記」は、毎朝、次の2つを書くことで人生が激変するというものだ。

・前日にあった「グッド」(よかったこと、感謝したこと、気づいたこと)
・今日やりたい「チャレンジ」(挑戦したいこと、変えたいこと)(P.49-50)

 この日記を書くことで、

 ・普段は気づかない「グッド」を見つけようとするようになる
 ・小さな「チャレンジ」を積み重ねることで自分自身を肯定できるようになる
 ・結果的に、毎朝書き込むチャレンジの内容もどんどん大きなものへと変わっていく
 ・将来チャレンジしたいことに関係したチャンスを見逃さずにゲットできるようになる

 などの効果があるのだそうだ。

 小さな変化を積み重ねることで、数年後には大きな変化が起きているというわけだ。

 これだけでも効果がありそうだが、毎朝1分日記に加えて「プラス1分日記」を書くことで、「どうしても達成したい目標を達成に導くことができる」と三宅氏は指摘する。

禁煙や資格試験合格、起業も叶える方法とは

 プラス1分日記のターゲットは、「1ヵ月から、長くても1年以内に達成を目指せる、具体的な目標」。三宅氏は「お勧めは3ヵ月から半年の期間で達成を目指せる目標」と語る。

 例えば、次のようなものだ。

・禁煙、禁酒
・ダイエット
・資格試験
・語学の検定試験
・貯金
・副業、投資
・起業、独立(P.96-97)

 毎朝1分日記に書く「今日のチャレンジ」は「今日はこれに挑戦するぞ、これを変えるぞ」という小さな決意表明をするものだ。

 一方で、目標を達成するプラス1分日記は「今日1日」ではなく、「目標達成までの期間」の、ちょっと大きな決意表明をするところからスタートするという。

 そのための最初の作業を紹介しよう。

具体的な「宣言書」を作って、署名&発効

 最初の作業は、「決意表明を形にした『宣言書』を作ること」と三宅氏は説明する。

宣言書の中身は、大きく分けて「達成目標」「行動計画」「ごほうび」「日付、署名」の4つです。
最初の1分ですべて作るのではありません。宣言書が「発効」するのは署名を入れた瞬間なので、その日に向けて毎朝1分ずつ宣言書の準備を進めていきましょう。(P.98)

 書式は自由でいいが、三宅氏のお勧めは「ちょっと大げさに言うと、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言のようなイメージ」とのこと。「少々芝居がかっていますが、実際に『宣言書』を形にしてしまうと、ものすごく身が引き締まります」と語る。

 最初に書くのは「達成目標」だ。これは「いつまでに、何を達成するか」を書く。内容はできる限り具体的に目標と期限を書く必要がある。

<達成目標の例>
・「英語の上達」ではなく「5月のTOEICで800点を達成する」
・「やせる」ではなく「半年で5キロ減量して70kg以下になる」(P.99)

 次は「行動計画」。「この行動さえやれば目標が達成できる」と思える具体的な行動を3つから5つほど書き出そう。

<行動計画の例① 語学や資格取得>
・「毎日英語を学習する」ではなく「通勤時間1時間はすべて英語のリスニングをする」
・「英語の語学書を読む」ではなく「実際に高得点を取った人に会いに行って、お勧めの攻略本3冊をとことん読み込む」(P.101)

 次に書くのは達成できたときに自分に与える「ごほうび」だ。なぜなら、ごほうびが達成目標に大きく貢献するからだ。

あなた自身がとても幸せになるごほうび、目標をどうしても達成したくなるような「アメ」を真剣に考え、書き込むことに全力投球してください。(P.103-104)

 そして、最後には、日付と「署名」を書き入れて、宣言書を発効させて用意完了だ。

署名がない状態では、ただの「案」。でも署名を書いてしまったら、次の瞬間から宣言書を守らなくてはなりません。自ら宣言するのですから。(P.105-106)

 確かにここまで準備をすると、頭の中でなんとなく考えている「痩せたいな」「英語をしゃべれるようになりたいな」といった“希望”とは違うマインドセットができそうだ。

行動計画に沿って、自分の行動を毎朝1分振り返る

 宣言書を発効した後は、行動計画に沿った毎日の行動をプラス1分日記に記録していくという。

 これは「できた」「できなかった」ではなく、行動の記録だ。

ダイエットやスポーツなら、練習した内容と成果、走った距離やタイム、摂取した食べ物の詳細、体重、体脂肪率。毎朝1分間、宣言書に書いた自分自身の「行動」についてつぶさに記録していきます。(P.107)

 こうして行動計画を実行していくうちに、どんどん成長したり、苦手なことがわかってきたりするし、やっているうちによりよい方法を見つける可能性もある。

 そのため、「より良い行動計画が見つかれば改善していい」とのこと。ただし、行動計画を練り直したら、また新しい宣言書を用意して、署名し、発効させる必要がある。

 そして、もし達成できなければ、「時間が足りなかっただけ」と考え、新しい期限を書き込んだ宣言書を用意して、挑戦を続行するのだ。

 このように、具体的な行動計画と期限を定めた宣言書を作ることで、私たちの「痩せたい」や「英語をしゃべれるようになりたい」といった漠然とした希望から具体的な目標へと形を変えることができるのだ。

 いい加減、毎年同じ目標を立てることから脱却するためにも、筆者も早速宣言書を作ってみたいと思う。