夏が近づくと私は、自民党離党、さきがけ結成、細川政権樹立と大きく動いた1993年夏の大政局を思い出す。

 早いもので今年はあれから20年。それに関する取材もあるからか、当時を回想する機会も例年になく多い。

 93年の6月18日に自民党を離党した同志の衆議院議員は10人。この創立メンバーのうち、4人が今も政界に残っている。自民党には、渡海紀三朗、三原朝彦、岩屋毅の3氏。それと再度自民党を離党して、今は日本維新の会に所属している園田博之氏だ。

 鳩山由紀夫元首相が政界を引退したから、民主党には創立メンバーが1人もいなくなった。「さきがけの志を広げる」と言って民主党結成に走った鳩山元首相が昨年末、追放されるように民主党を去り、民主党からもさきがけの灯は消えた。

新党さきがけの政治理念
「さきがけの灯」とは何か

「さきがけの灯」とは何か。

 それは、6月21日の結党に際して発表した『われわれの政治理念』である。これは『さきがけ五綱領』とも言われるわれわれの旗であった。

一、私たちは日本国憲法を尊重する。憲法がわが国の平和と繁栄に寄与してきたことを高く評価するとともに、時代に応じた見直しの努力も続け、憲法の理念の積極的な展開を図る。

二、私たちは、再び侵略戦争を繰り返さない固い決意を確認し、政治的軍事的大国主義を目指すことなく、世界の平和と繁栄に積極的に貢献する。

三、地球環境は深刻な危機に直面している。私たちは美しい日本列島、美しい地球を将来世代に継承するため、内外政策の展開に当たっては、より積極的な役割を果たす。

四、私たちはわが国の文化と伝統の拠り所である皇室を尊重するとともに、いかなる全体主義の進出も許さず、政治の抜本的改革を実現して健全な議会政治の確立を目指す。

五、私たちは、新しい時代に臨んで、自立と責任を時代精神に据え、社会的公正が貫かれた質の高い実(じつ)のある国家、『質実国家』を目指す。