グローバルマーケットで
過小評価される日本のブランド
――御社のサービスが最も「効く」と思われるクライアント企業像を教えてください。
「大企業」ですね。大きな組織ほど部門間のサイロ化という課題を抱えているため、何かしら統合的なアプローチが求められていますし、経営者も「戦略の最適化だけではブレークスルーが生み出せない」という閉塞感や危機感を持っていらっしゃる方が多いのです。
また、私個人は「日本の大企業のグローバルなプレゼンスを高めたい」と強く思っていて、実際に海外マーケット向けのご相談が非常に多いです。国内では実力もブランド力もあるのに、グローバルマーケットで過小評価されている日本企業はまだまだ多いですから。

――この時代になっても、国内と海外でブランド力にギャップが生じてしまうのはなぜでしょうか。
一つはリテールの弱さです。日本では路面店を展開しているようなブランドでも、海外市場では十分な交渉力が持てずに、百貨店の隅っこにしか売り場がなかったりしてブランドの世界観を表現できる環境を得られていない。もう一つは、グローバル市場に適応したクリエイティブ戦略の不足です。各国のカルチャーに合わせながらも、一貫性を持った強いメッセージが打ち出せておらず、結果としてロイヤルティーを獲得できていません。こうしたギャップを解消するために、クライアントの海外拠点や販社を一つ一つ訪問して、ブランドポリシーやデザインポリシーを浸透させたり、ローカライズのお手伝いをしたり、組織の再構築のサポートもしたりしています。
デザインの仕事からはやや逸脱していますが、社外の人間だからこそ、そこまで踏み込める面もありますし、「一気通貫」というからには、自分たちが構想した戦略がしっかり展開されるまで見届けたい。そのために必要とされることは、どんなことでも泥くさく実行しようとしています。