戦略×デザインの一気通貫サービスで、ブランドづくりはどう変わるのかIceHawk / PIXTA

思わずクリックしたくなるボタンから、顧客を魅了するビジョンまで――。愛されるブランドには、あらゆるタッチポイントを貫く統合的なCX(顧客体験)がある。この鍵を握っているのが「デザインの力」だ。戦略コンサルのデロイト トーマツは、2024年にデザインファーム(デロイト トーマツ デザイン メタ・マニエラ=D.Design)を経営統合し、戦略策定からクリエイティブまで一気通貫で支援するサービスを本格的に導入した。戦略とデザインが融合すると、企業やブランドはどう変わるのか。エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターの八代圭氏に聞いた。(聞き手/音なぎ省一郎、構成/フリーライター 小林直美、撮影/朝倉祐三子)

「デザインの力」がないと、ブランドは生き残れない

――デロイト トーマツ デザイン メタ・マニエラ(以下、D.Design)を統合してから1年あまりがたちます。改めてデザイン領域を強化した背景をお聞かせください。

 端的に言うと、もはやコンサルティングの中でも特に戦略領域とクリエイティブの両方が必要不可欠だからです。特に、新しいビジネスを立ち上げるときには「コンセプトを形にして、検証する」というニーズが必ず発生します。実際、今、ご相談いただいている案件のほとんどが新規事業や新商品のコンセプト作りやブランディングです。

――新しいビジネスの構築においてデザインが重要である、という認識はクライアント企業にも広がっていますか。

 共有されていると思います。そもそも日本企業には、「まず作る」というプロダクトアウトの文化が根付いています。経営者自身が「形」を見ないと納得しないし、どこで売り、どんなトーン&マナーでコミュニケーションするか――といった体験まで含めて具体化しないと、社内を巻き込むことができません。

 ブランディングの観点からも、いかに一貫性のあるCX(顧客体験)をデザインするか、がますます重要になっています。デジタルによって市場のクラスター化が進んだことで、トップ企業がシェアを取れば勝ち、という時代は終わりました。大事なのは「大きなパイを取る」ことではなく、「小さなパイの中でいかにロイヤルティーを獲得するか」です。CXの向上なしには企業もブランドも生き残れない。私たちは、戦略構築とクリエイティブをコンサルティングとして一体化させたチームで、ブランドのロイヤルティーアップにつながるCX向上を一気通貫でサポートしています。