自分の間違いを訂正する
「自己訂正力」を育むポイント

(1)子どもの様子を「見守る」姿勢をもつ

 子どもは今、「できるようになる」ための道のりを一歩ずつ歩んでいる最中です。すべてが発達途上にあり、まさに成長のプロセスを進めているときです。そのようなときに、私たち大人が大切にするべきことがあります。さて、一体何でしょうか? 少し考えてみてください。

 それは、「見守る」ことです。

 子どもが「自分でやって→気づいて→ときに失敗して→やってみて→自分でできた!」まで到達するこのプロセスを見守り、必要なときだけ助ける。「このプロセスをあなたのペースでやっていいのよ」と保障することがとても大切なのです。

 よかれと思った手出し口出しが、子どものやる気やチャレンジ精神、自信を奪ってしまうことがあります。実は、子どもが自ら築こうとしている自信は大人が思っている以上に繊細で、大人のささいなひと言で一気に崩れてしまうこともあります。だからこそ、指摘したり手出し口出ししたりすることには慎重になるのがおすすめなのです。

(2)学ぶプロセスを保障する

 さらに、「学ぶ」とはどういうことなのかという捉え方にも影響を及ぼす可能性もあります。「学ぶ」と聞くと、「=学習」というイメージがあり、乳幼児期の0~6歳には関係なく、小学校に行ってから関係するのでは?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、実は「学び」は誕生したときから始まっているのです。言葉を喋ることができるようになるのも、スプーンやフォークを使って食事ができるようになるのも、実はすべては「学び」の賜物なのです。

 たとえば、目の前にあるこの赤い丸いものを「りんご」と言うのだと、さまざまなりんごの実物を見て、言葉を聞いてインプットし、次に青りんごに出会っても、「色が違ってもこれもりんごっていうんだ」と学んでいくのです。そうして、子どもは誕生したときからこの世界のことを知り、体験して、どんどん学んでいくのです。

 このようなときに重要なのは、正解や知識を最短で覚えることではありません。ただ暗記するのではなく、自分の身体を使って、自分で体験して、失敗も含めて探索すること、そして「自己訂正」を通して自分で発見することなのです。そのプロセス全体こそが、子どもにとって「学び」になります。私たち大人が(1)「見守る」、(2)「学ぶプロセスを保障する」ことで、子どもは「学ぶ」ことの本質を経験し、理解することができます。