【一発アウト】「数字と評価の奴隷」が真っ先にやらないといけないこと・ベスト1

【一発アウト】「数字と評価の奴隷」が真っ先にやらないといけないこと・ベスト1とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか？」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち（大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…）は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。（構成／ダイヤモンド社・種岡 健）

Photo: Adobe Stock

真っ先にやらないといけないこと

　何事も、まずは捨てることから。

　新しい思考を取り入れるためには、まず過去の思い込みを手放す「アンラーニング（学習棄却）」を実践する必要があります。

　多くの人は、長年慣れ親しんできた価値観で新しいものを評価しがちです。

　しかし、それは、まるで色付きのサングラスをかけたままモノの色を当てようとするようなもの。
　あるいは、すでに何かが描かれているキャンバスに新しい絵を描いても、いい作品ができないのと同じです。

　古い価値観が残ったままでは、新しい視点をクリアに取り入れることはできません。

　もし、これまでの価値観に従って生きてきて、思うように成果が出ていないとしたら、その価値観を手放すしかないのです。

　そうすることで、次なる正しい意思決定ができるようになります。

・根本的な価値観
・今までの物事の見方
・当たり前に思っている世界の捉え方　……

　それらを見直すことで、負のループから抜け出せるようになります。

「情報の遮断」がもたらすもの

　これは、私の話です。

　私自身、過去にアンラーニングの期間を設け、長く染み付いていた価値観を洗い流す時間をとったことがあります。

　従来の考え方がもはやうまく機能しないと感じていたので、まずはその価値観を捨てる努力が必要でした。

　特に私自身は、資本主義的な考えにとらわれ、物事を短期的な視点でしか見られなくなっていることに危機感を持っていました。

　会社経営をしていると、どうしても短期的な業績、毎日の売上、業界の評価といったものに意識を奪われます。

　気づいたら、数字と評価の奴隷になってしまいがち。
　それがよくないとわかっていても、一度染み付いた価値観を捨て去るのは容易ではありません。

　アンラーニングの期間中、まず真っ先に取り組んだのは、

「自分が日々取り入れる情報を変えること」

　でした。
　具体的には、日常的に目や耳に入る情報をガラッと入れ替えるため、SNSのアプリを消して、しばらく情報を遮断しました。

　これにより、普段の生活で受動的に取り入れていた情報から距離を置き、自分の思考をリセットする効果を狙ったのです。

　思考や価値観は、私たちが「日常的に入手する情報」から形作られます。
　つまり、頭に入れる「情報」を変えるだけで、「考え方」も自然と変わっていきます。

　そして、2週間がたった頃です。
　今まで気になっていた「業界内の噂話」や「評判」があまり気にならなくなってきました。

　そうすると、「なぜ、あれほどまでに、どうでもいいことを気にしていたのだろう？」とさえ思えるようになりました。

　この時点でようやく、自分が以前属していたコミュニティの価値観から一歩離れ、冷静に自分を見つめられるようになってきました。

　短期的な数字や評判に縛られていた思考から徐々に解放されていったのです。

　このような変化を経て、初めて新しい思考方法を受け入れる準備が整ったと感じました。
　スマートフォンにたとえるなら、アプリが大量に入っていると端末の空き容量が不足してしまい、新しいアプリをインストールできないのと同じです。

　人間の脳も同様に、「ワーキングメモリ」という限りある容量があり、そこが他の情報で埋まっていると、新しい考え方を取り入れるスペースがなくなってしまいます。

　だからこそ、まずは古くなった価値観をアンイストールして「空き容量」を確保することを最優先してください。

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発売即、大重版が決定！！
佐藤航陽氏 最新刊！

『ゆるストイック』(佐藤航陽・著)

この本を書いた理由
「おわりに」より

　正直に言うと、本書で紹介した内容は、自分自身で十分に試行錯誤し、すでに消化してしまっているため、あえて文章として残すモチベーションはそこまで高くありませんでした。

　それでも書こうと思った理由は、長年考え続けてきたテーマであるため、「かつての自分のような人」の助けになれば、という気持ちが残っていたからです。
「努力は報われる」「夢は叶う」と教えられてきましたが、「マイナス地点からスタートした人もハンデを覆すことができるのか？」という疑問をずっと抱いていました。

「がんばらなくてもいいんだよ」と寄り添う言葉はとても魅力的です。
　しかし、彼らは甘い言葉の責任は一切取ってくれません。

　逃げ帰る場所がない人もたくさんいます。
　むしろそっちのほうがずっと多いです。
　私もずっとそうでした。
　この本はそんな人のために書きました。

　会社を経営していると、社会からずっと教わってきたことと、実際の世の中の仕組みが違っている場面に何度も遭遇しました。その度に、自分なりに世界の仕組みを自力で理解して攻略する必要がありました。

　そして、その度に誰かが書いた本に助けられてきました。
　今度は私が誰かにそれを返そうと思ってこの本を書いています。

『ゆるストイック』に書いたことは、「もっと早く知っていれば、無駄な遠回りをせずに済んだのに」と思うことばかりです。
　ここに書いたことはあくまで「手段」にすぎません。
　それを使って何を実現したいのかという「目的」のほうが重要です。

　この本が、自分の人生にまだ納得がいっていない「諦めの悪い人」へのヒントになることを願っています。

CONTENTS

第1章　時代が「ゆるストイック」を求めている
第2章　ゆるストイックの心の準備
第3章　「世の中の仕組み」をゆるく理解する
第4章　ゆるストイックに過ごす方法
第5章　ゆるストイックを持続するコツ
第6章　不確実な未来に備える