【あなたはどっち】頭の悪い人は「努力すれば報われる」と考える。じゃあ、頭のいい人は?
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

【あなたはどっち】頭の悪い人は「努力すれば報われる」と考える。じゃあ、頭のいい人は?Photo: Adobe Stock

自己責任論について

 被害者意識の対極に「自己責任」という考え方があります。
 これは、自分を管理したり成長させたりするのには大事な視点です。

 しかし、自己責任にとらわれすぎると、うまくいかないときに必要以上に自分を責めたり、自己否定に陥ってしまう危険性もあります。

 本来、自己責任は、「自分ができること」にフォーカスして改善していくための前向きな考え方です。

 ただ、それが行きすぎると、自分自身を縛ってしまう鎖になりかねません。
 実は「自己責任論」は、権力者にとって都合のいいツールでした

 19世紀の産業革命の時代、労働者が増える中で、

「働けば報われる」
「自分の力で成功をつかむべき」

 という価値観が広まり、社会に根付いていきました。

もともとは権力者のツール

 この頃、サミュエル・スマイルズの『自助論』も広まって、「自分の力で成功をつかむこと」が美徳とされました。

 この考え方は、勤勉さを重視する資本主義社会にピッタリで、労働者をがんばらせた上、生産性の向上にもつながったわけです。

 さらに、自己責任論が広まることで、権力者たちは、「自分たちが偉くなれたのは自分たちの勤勉のおかげだ」と周囲に信じさせることができました。

 実際には、富や地位を得るためには、「家柄」「教育環境」の影響も大きかったはずです。

 しかし、自己責任論が強まることで、「成功はすべて個人の努力によるもの」という価値観が強調され、格差や不平等の根本的な原因が見えにくくなったのです。

 結果として、社会の問題も個人の努力不足や自己責任とされることが増え、権力者や既存の社会制度への批判や変革の意識が薄れていきました。

「ゆるストイック」というスタイルでは、自己責任に取り組む姿勢は大切にしながらも、自己と他者、環境の影響を冷静に見極めることを大事にしていきます。 

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。