頭の悪すぎる人は「リスク」を避ける。頭のいい人はどう考える?
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

頭の悪すぎる人は「リスク」を避ける。頭のいい人はどう考える?Photo: Adobe Stock

VUCAの時代とは?

「『リスクがまったくない』と判断できるまで、動かない」

 そんなゼロリスク思考は、現代社会ではかえって足かせになりかねません。
 今の時代は「VUCA(ブーカ)の時代」と呼ばれます。

■ 変動性(Volatility):つねに変わるリスクがある
■ 不確実性(Uncertainty):何が起こるか予測できない
■ 複雑性(Complexity):さまざまな要因が複雑に絡んでいる
■ 曖昧性(Ambiguity):因果関係が曖昧になっている

 その4つが特徴の時代です。

 未来を完全に予測することは難しく、リスクがゼロになる状況はほとんど存在しません

 そのため、リスクがなくなるのを待ち続ける姿勢では、チャンスを逃すだけです。

ゼロリスク思考:
リスクがゼロならリターンもゼロ

 インターネットの普及やグローバル化が進む以前の社会は、物事が比較的予測可能で、リスクを避けることが有効だった時代でした。

 そのため、年齢を重ねるほどリスクに慎重になるのが一般的でした

 しかし、現代のZ世代は、予測可能性がほとんどない社会を生き抜く感覚を持ち合わせています。

 そのため、リスクを完全に排除することが「現実的でない」ということを無意識的に理解しています。

 彼らにとっては、リスクを「ゼロ」にすることよりも、リスクを前提にした柔軟な行動を取ることのほうが当たり前なのです。

 リスクをゼロにしたいという気持ちは堅実さを示す一方で、現代ではかえってリスクのある場面を避け、動けなくなる原因にもなります。

 特に競争社会では、

「リスクがゼロである状況 = すでにリターンもゼロ」

 と考えるべきです。

 そして、リスクが完全にないのに高いリターンが得られるといった話には注意が必要です

 リスクとリターンはセットであり、ゼロリスクで高いリターンをうたうものは「詐欺」だと疑ってみるくらいでちょうどいいのです。

 リスクへの対処は、誰もが投資家のようにポートフォリオを組む感覚が求められます。

 小さなリスクを分散して取りながら、小刻みにトライアンドエラーを繰り返す姿勢こそが現代社会で必要なリスク管理の方法です。

 リスクを排除するのではなく、リスクとリターンのバランスを考えながら挑戦を積み重ねる

 そうすることで、柔軟に対応できる基盤が整います。
 VUCAの時代を生き抜くためには、リスクを管理しつつ前に進む「柔軟なリスク思考」が欠かせない要素となるのです。

 それを理解することで、「ゆるストイック」な生き方が可能になります。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。