「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「断る」というときに必要な勇気
人は弱い。
だから、「先送り」してしまいます。
「あとで決めるよ」と言って、相手が忘れることを待つ。
それは、仕事の上では最悪の状態です。
私がすすめる「パーフェクトな意思決定をする」ということは、その時々の思いつきでまわりを振り回すことではありません。
ちゃんと「ダメなものにはハッキリとダメ」と言うことです。
そのときに、心理的な葛藤があるでしょう。
「部下からの提案を却下したら、辞めてしまうかもしれない」
「ダメと言ったら、パワハラになるのか?」
そんな葛藤です。
ただ、どちらもピントがズレています。
辞めることを考える必要がないし、パワハラでもない。
それよりも、ヘタに期待を持たせて、先送りするほうが不親切です。
「そのうちやるから」と言って引き止めても、何もいいことはない。
後々、トラブルにもなりかねません。
「あの人、めちゃくちゃ仕事できないね」と陰で言われるリーダーの口グセとは、「検討しとくよ」「あとで考えるよ」など、あいまいに濁すことです。
それよりも、
「今の判断材料だけでは難しい」
ということをキッパリと言う。つまり、「情報不足」の箱に入れるということ。
そうすると、部下は次の行動に100%集中して移れます。
相手のためにも、ハッキリ断る勇気が必要だということです。
最低限のマナーはある
とはいえ、日本では、オブラートに包むことが求められます。
遠回しに言う必要はありませんが、最低限のマナーはあるはずです。
もし、相手の提案を断らないといけないときは、
「ご提案いただき、ありがとうございました」
という感謝は伝えるべきです。
それをセットにして、「ただ、今回は見送ります」という結論を伝える。
メールの場合、長々と言い訳や理由を書きたくなるかもしれません。
しかし、できるだけ早めに、「ノー」を伝える。
それが本当の優しさなのです。
タイミングで判断は変わる
また、意思決定はタイミングもあります。
環境や条件が変わることで、判断が変わる可能性だってあります。
「あのときはダメって言ったじゃないですか!」
という不毛な議論はしないことです。
一度、「ノー」と言ったことが、一生「ノー」であり続ける必要はありません。
そこは、「考えが変わった」ということを堂々と言えばいい。
その柔軟性があるからこそ、「パーフェクトな意思決定」たりうるのです。
私たちは、つねに「不確実性」の中を生きているわけです。
意見が変わることは十分にあり得ます。
そのことを覚えておきましょう。
人によっては、それを「ブレている」と言うかもしれません。
しかし、本人の中に「一貫性」さえあれば、別に気にすることではありません。
それに対する第三者の理解は必要ないのです。
ここが、「リーダーは孤独だ」と言われる所以かもしれません。
(本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。