「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「あの人、めちゃくちゃ仕事できないね」と陰で言われるリーダーの口グセとは?Photo: Adobe Stock

「断る」というときに必要な勇気

 人は弱い。
 だから、「先送り」してしまいます。

「あとで決めるよ」と言って、相手が忘れることを待つ。
 それは、仕事の上では最悪の状態です。

 私がすすめる「パーフェクトな意思決定をする」ということは、その時々の思いつきでまわりを振り回すことではありません。

 ちゃんと「ダメなものにはハッキリとダメ」と言うことです。
 そのときに、心理的な葛藤があるでしょう。

「部下からの提案を却下したら、辞めてしまうかもしれない」
「ダメと言ったら、パワハラになるのか?」

 そんな葛藤です。

 ただ、どちらもピントがズレています。
 辞めることを考える必要がないし、パワハラでもない。
 それよりも、ヘタに期待を持たせて、先送りするほうが不親切です

「そのうちやるから」と言って引き止めても、何もいいことはない。
 後々、トラブルにもなりかねません。

「あの人、めちゃくちゃ仕事できないね」と陰で言われるリーダーの口グセとは、「検討しとくよ」「あとで考えるよ」など、あいまいに濁すことです。

 それよりも、
「今の判断材料だけでは難しい」
 ということをキッパリと言う。つまり、「情報不足」の箱に入れるということ。

 そうすると、部下は次の行動に100%集中して移れます
 相手のためにも、ハッキリ断る勇気が必要だということです。

最低限のマナーはある

 とはいえ、日本では、オブラートに包むことが求められます。
 遠回しに言う必要はありませんが、最低限のマナーはあるはずです。

 もし、相手の提案を断らないといけないときは、
「ご提案いただき、ありがとうございました」
 という感謝は伝えるべきです。

 それをセットにして、「ただ、今回は見送ります」という結論を伝える。
 メールの場合、長々と言い訳や理由を書きたくなるかもしれません。
 しかし、できるだけ早めに、「ノー」を伝える
 それが本当の優しさなのです。

タイミングで判断は変わる

 また、意思決定はタイミングもあります
 環境や条件が変わることで、判断が変わる可能性だってあります。

「あのときはダメって言ったじゃないですか!」

 という不毛な議論はしないことです。
 一度、「ノー」と言ったことが、一生「ノー」であり続ける必要はありません
 そこは、「考えが変わった」ということを堂々と言えばいい。
 その柔軟性があるからこそ、パーフェクトな意思決定たりうるのです。

 私たちは、つねに「不確実性」の中を生きているわけです。
 意見が変わることは十分にあり得ます。
 そのことを覚えておきましょう。

 人によっては、それを「ブレている」と言うかもしれません。
 しかし、本人の中に「一貫性」さえあれば、別に気にすることではありません

 それに対する第三者の理解は必要ないのです。
 ここが、「リーダーは孤独だ」と言われる所以かもしれません。

(本稿は、パーフェクトな意思決定の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。