病欠から復帰してきた人への「感じのいい声がけ」とは?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「よかったね」は正解?
職場に病欠から復帰する人が戻ってくるとき、どんな言葉をかければよいか悩むことはありませんか?
この場面はとてもデリケートで、言葉一つで相手の気持ちに大きな影響を与えることがあります。
誰でも慎重になりますよね。
たとえば、「良くなってよかったね」と言う言葉。
相手を思いやる気持ちから出た言葉かもしれませんが、実はその人がまだ完全に回復していなかったり、不安を抱えながら職場に戻ってきている場合、この言葉がプレッシャーとなり、相手の心に負担をかけることがあります。
「無理して元気に見せなければいけない」というプレッシャーを与えてしまう可能性もあるのです。
また、あまりにも過剰に気を使いすぎる態度も、逆に相手に負担を感じさせることがあります。
過度に気を使われすぎると、「どう接したらよいかわからない」と避けられているように感じてしまうこともあります。
シンプルで安心感を与える言葉
病欠から復帰した人への声のかけ方で大切なのは、相手の気持ちや状況を尊重し、無理に踏み込まないことです。
以下のような言葉が参考になるでしょう。
「顔を見られて嬉しいよ」
相手の存在を歓迎するシンプルで温かい言葉です。
体調に触れる必要はありません。
「少しずつまた戻しましょう」
インフルエンザやコロナなど、一定期間休んだ人には、このように伝えると良いでしょう。
「無理をしなくて良い」というメッセージを送り、相手が安心できる環境を作ります。
病欠から復帰する同僚への声のかけ方は、相手の気持ちを尊重し、無理に踏み込まず温かく歓迎することが大切です。
自分の思いやりを示すために、過度に気を使ったり、回復を強調したりするのではなく、シンプルで安心感を与える言葉をかけるよう心掛けましょう。
いつ自分が同じ状況に置かれるかわかりません。
相手が自然に職場に戻れるよう、支え合う姿勢を持ちたいですね。
(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が書き下ろしたものです。)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。