職場で「ちょっと不快かも?」と感じてしまった言葉がありませんか?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
職場で不快に感じた言葉
職場でのコミュニケーションは、チームや相手との雰囲気に大きな影響を与えることを理解していても、日々の業務の中で無意識に使っている言葉が、知らず知らずのうちに同僚や部下を傷つけてしまうことがあります。
ある組織で行ったコミュニケーション研修で、「職場で不快に感じた言葉」について尋ねたことがあります。
ここでは、特に多くの回答が寄せられた3つの例をご紹介します。これらの言葉に共通していたのは「相手を軽視していると感じさせる」という点でした。
1「~でいいよ」
この言葉は、一見、相手の提案や行動を許容しているように思えます。
しかし、「~でいいよ」には、「妥協する」といったニュアンスを感じさせることがあります。
相手の提案を軽視した表現です。
部下は一生懸命考えた提案なのに「たいした価値がないのかもしれない」と感じるかもしれません。
「~でいいよ」が出そうになったら、「それはいいですね」と肯定的に言い換えるのがおススメです。
もし、相手の提案に不足分があるならば、「ただ一つ、〇〇を加えてください。そうするとさらに良くなります」と伝えてみましょう。
「~でいいよ」にはない、相手の仕事の質を高めるフィードバックになります。
2「~くらいできるでしょ」
「~くらい」という言葉は、仕事の内容を軽視する印象を与えかねません。
例えば、「このデータ入力、今日中にやっておいてよ。これくらいの作業ならすぐできるでしょ」などと言われると、普段から丁寧に仕事をしている人ならば、モチベーションが下がります。
シンプルに「このデータ入力、今日中にお願いします」と伝えましょう。
3「ついででいいよ」
「ついでに」という言葉は、相手の予定を軽視している印象を与えがちです。
忙しいビジネスパーソンの一日の段取りに、「ひとつ仕事を増やしている」ことへの配慮が欠如しているかのようです。
「加えて、これもお願いできますか?」などとシンプルに依頼するのがおススメです。
日々の業務に追われていると、つい言葉が雑になりがちです。
しかし、感じのいい人は、相手もまた業務に追われていることを心得て、配慮ある言葉を選んでいます。
そして常に「ありがとうございます」を忘れないのも特徴です。
(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。