トランプ大統領Photo:Andrew Harnik/gettyimages

ウクライナ停戦交渉、米ロ高官協議始まる
ウクライナ、欧州には頭ごなしの不安

 ロシアがウクライナへの侵略戦争を始めて、この2月24日で丸3年が経過する。大統領選挙期間中、ウクライナでの戦争を止めると発言してきたトランプ大統領が動き出し、プーチン大統領と停戦交渉開始で合意、18日からはサウジアラビアで米ロの高官協議が始まった。

 トランプ大統領であれば、その強引な手法でロシアもウクライナも抑えることができるのではないかとの期待はなくもないが、停戦実現にいくつか乗り越えなければいけない困難な課題がある。

 とりわけ重要なのは、国際法違反が明白なロシアの侵略行為をきちんと総括し、そのうえでロシアの再侵攻を許さない欧州の安全保障の枠組みの再構築や、その下でロシアを国際社会に復帰させる道筋や展望を描くことだろう。

 だが今回の停戦交渉の開始合意は、トランプ大統領が、停戦実現の外交的成果を上げることを優先し、ロシアの有利な条件で停戦をするのではとの疑念、頭ごなしへの不安がウクライナや欧州諸国では強い。

 欧州では、17日には、マクロン大統領の呼びかけで英独の首相らが米ロによる頭越しの停戦への危機意識が共有された。

 トランプ氏の「現実利益優先」の停戦となれば、世界の分断は深刻化する懸念がある。