すねている人の機嫌を直す質問
先ほど、「ネガティブ発言=悪ではない」といいましたが、たとえば人を攻撃したり、アイデアをバカにしたりするような発言は見過ごせません。ほかのメンバーが安心して発言できなくなるからです。
ネガティブな発言ばかりするのは、思考が後ろ向きだからという理由のほかに、じつは本人がへそを曲げている、すねている、というケースもあります。
やることなすこと全部に文句を言われたり、ケチをつけられたりすれば、周りの人は一緒に仕事をするのは難しいと考え、その人を避けるでしょう。
しかし、当の本人としては、「もっと仲間に入りたい」「自分もメンバーの一員になりたい」「周りから認められたい」というのが本音だったりするのです。実際、妙につっかかってきたり、反抗的な意見ばかり出したりする人に、
「では、この件の担当をお願いしていいですか?」
と重要な仕事を任せたところ、二つ返事で引き受けて、生き生きと仕事に取り組むようになったことがありました。自主的に提案を持ってきたり、積極的に調べて発表したりするようになったのです。
こういうタイプの人には、自分の役割を、自分で決めてもらうのが効果的です。
「この案件で、君にどの部分で力を貸してもらえますか?」
「今回の企画で、あなたが力を発揮できそうなのはどの分野ですか?」
と尋ねてみるといいと思います。
ネガティブ思考である彼らの意見は、本質をついているかもしれないし、ただへそを曲げているだけかもしれません。
人の目を気にせずに、誰が聞いてもネガティブにしか聞こえない発言ができるというのは、ある意味、積極性があるとも受け取れます。
一方で、言葉にとてもトゲがあるような言い方をしてしまう場合、そこにはなんらかの感情が込められているはず。きつい言い方をせずにはいられないのなら、その部下はマイナスの感情を抱えている可能性があると考えられます。
マイナスの方向に流されている部下の感情を、可能な限りプラスの方向に変えていけたら、出てくる言葉も、考え方もポジティブに変わるはず。合わせて「自走力」も育つに違いありません。