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カリスマ経営者が不在も
新中計で飛躍を宣言
スズキが大きなエポック(時代)を迎えている。「浜松の中小企業のオヤジ」と自称し、長らくスズキを引っ張ってきた鈴木修相談役が昨年のクリスマス(12月25日)に逝去したことで、スズキ創業家の嫡流である鈴木俊宏社長を中心とする「鈴木俊宏チーム体制」に完全移行する形となった。
今や、スズキは“中小企業”どころか世界に冠たる自動車メーカーだ。グローバル販売台数ではベスト10に入り、独自の経営戦略でその存在感を高めている。“カリスマ経営者”として世に知られた修氏による長年の「オサム流経営」により、国内では“軽自動車の雄”の座を確立し、世界戦略ではインドへ早期に着目して圧倒的シェアを築き上げた。修氏は、“スズキの中興の祖”とうたわれた。
「巨星、墜つ」と報道された昨年末の修氏の訃報だったが、スズキはこの2025年の年明け早々から、修氏の長男である俊宏社長が海外から国内へと精力的に東奔西走して、世代交代を明確化する姿勢を示した。
俊宏社長は、年明けにスズキ初の出展となる米ラスベガスのCES(世界最大のテックイベント)に出席すると、その直後にインドを訪問している。1月30日には、インド製造で話題となった5ドアタイプの「ジムニー ノマド」の国内新車発表会に臨んだ(ちなみに、この日は、ジムニー生みの親である修氏が生存なら95歳の誕生日)。
その中でも最も大きなイベントとなったのが、2月20日に開催した30年度までの新中期経営計画の発表会見だ。