習近平国家主席Photo:Pool/gettyimages

第2次トランプ政権始動とともに
米中貿易戦争が再燃

 今年1月に第2次トランプ政権が始動するやいなや、世界中が「米国第一」の政策に振り回されている。その影響を最も大きく受けているのが、中国であろう。

 中国では1月28日から2月4日にかけ、旧正月である春節休暇を迎えた。その最中の2月1日、トランプ政権は、合成麻薬の米国への流入に中国が加担しているとして、中国からの輸入品に一律10%の追加関税を2月4日より課すとの大統領令を発表した。

 これに対し中国は、米国の対中追加関税発動直後の2月4日、米国から輸入する石炭・液化天然ガス(LNG)などに15%、原油・農業機械・大型自動車などに10%の追加関税を2月10日より賦課すると発表した。

 同時に、(1)タングステン・モリブデンなどレアメタル5種の関連製品に対する輸出規制、(2)中国との輸出入禁止などを定める「信頼できないエンティティリスト」への米企業2社の追加、(3)米グーグル社への独占禁止法調査開始、(4)米国の対中追加関税をWTO規則違反としてWTOに提訴 、といった関税以外の対抗措置も矢継ぎ早に発表した。

 春節休暇中にもかかわらず、これだけ多くの措置が米国の対中追加関税発動直後に発表されたことから、中国側が米国側の動きを予想して、対抗措置を準備していたことがうかがえる。

 中国は、前回の「米中貿易戦争」の経験を活かしているとみられる。2018年の第1次トランプ政権による1974年通商法301条に基づく対中関税引き上げを皮切りに、米中両国は制裁関税の応酬を繰り返してきた(図)。