帰国後のエリート留学生は
中国に関連した仕事につく

 ともあれ、どういう動機で中国留学を選択したにせよ、数年間の生活で中国への理解は深まる。前述したように、特に途上国から来る国費留学生の多くはその国のエリートであり、留学を終えると中国に関連した仕事に従事する。奨学金や子どもと住める住居の提供につられて、のこのことやって来た私だってその1人だ。

 2015年、中国のスターバックスでカフェラテを飲んでいたら、隣の席の中国人男性に「日本人か?」と話しかけられた。ザンビアで銅山関係の会社を経営し、一昨日帰国したばかりという彼は私に連絡先の交換を求め、数日後「日本の部品メーカーを紹介してほしい」と電話してきた。別のアフリカ人からは「私の国で制作される映画では、日本人の役を中国人が演じている」とも聞いた。

 日本から見るとアフリカはとても遠い国で、旅行にしろビジネスにしろ「アフリカまで行く」という感じだが、中国にいると、実際の距離よりも近い国に感じる。

 私の知りうる限りアフリカの人々の多くは、日本に強い好感を抱いているにもかかわらず、関係がより濃密なのは中国だ。

 日本企業だってグローバル化の必要性を理解しているし、大学も最近は留学生を増やして国際化を進めているけど、日本語が話せるアフリカ人になんて滅多に会わない。グローバルというけど、実際は地球の半分、あるいは3分の1くらいしか見ていないのかもしれない。