いつも嫌なことが頭の中をぐるぐる巡ったり、「あの人のことを考えると不安やイライラが止まらない」と感じることはないだろうか。そんなとき、まず大切なのは、問題を解決しようとする前に、一度「ストレスをリセット」することだ。『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、ストレスを抱えやすい人のために、科学的に実証された気分転換の方法を多数紹介している。著者はUCLAの准教授で認知行動療法の専門家であり、セラピストとして14年以上にわたってクライアントをサポートしている。本書は単なる事後対処にとどまらず、そもそもストレスを寄せつけない体質をつくる方法についても解説。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

SNSで他人の完璧な生活を見るのは「自虐行為」
他人が完璧な生活を送っている写真や動画ばかり観るのは、自虐行為でしかない。
多くの人がSNSで自分と他人を比べてストレスを溜め、もっと買いたい、もっと自分を完璧にしたいという衝動にかられている。
それは、リラックスしているときに得られる満足感とは真逆のものだ。
1週間SNSから離れただけで、うつや不安感が軽減され、幸福感が向上するという研究結果が出ているのも当然だろう。それに、どれだけ時間を節約できるかも考えてみよう。
私たちは1日平均147分をSNSに費やしている。つまり1週間で17.25時間、1ヵ月で70時間近くにもなる(自分を責めないで―SNSはアルゴリズムを使ってユーザーをとり込み、意志を弱めるよう設計されている)。
その時間をもっと自分が喜ぶようなことに投資するほうが、理にかなっていないだろうか。
SNSを開いてしまう自分の行動を分析する
SNSを開く前に、行動科学者になったつもりで自分の考えや感情を追ってみよう。
退屈しているからSNSをやるのか? 落ち着かないから? 疲れているから?
そしてしばらくSNSを見たあとに、自分が何を感じ考えたかを記録する。
見る前よりさらに疲れた? イライラした? 不安になった? 嫉妬した?
次に、SNSのメリットとデメリット>を広い視野で考えてみよう。
明らかなメリット(古い友人とのつながりが深まるなど)とその結果(週に10時間無駄にした、FOMO[見逃し恐怖]を感じた)を明確にし、同じメリットを得るためにもっと良い方法がないかどうかを考える(電話、チャット、メールで毎週3人に連絡をとるなど)。
現実的な「脱SNS目標」を設定しよう
すべてのSNSを1日または1週間休んで、自分の気分を確かめてみる。
あるいは使用時間の制限目標(仕事後に30分など)を設定してもいい。いくつかオプションを試して、どれが自分に合うかを探す。
SNSからタイムアウトしたければ、誘惑を減らすためにスマホやパソコンからアプリを削除しよう。
スマホやパソコンで閲覧をブロックするプログラム、あるいはデバイスを格納するタイムロックコンテナーを利用できる。
そうすれば食事中には大切な人たちと本当の意味で交流し、仕事も集中して仕上げられるようになる。
そこまでするなんてやりすぎだと思うかもしれないが、私が知る非常に生産性の高い人たちは、集中力を取り戻すためにこのような手段を活用している。
最後に、ちょっとした休憩時に、やりがいを感じられるアクティビティ(本を読む、友人に電話するなど)のアイデアも集めておくといいだろう。
※『瞬間ストレスリセット』では、科学的に短時間でストレスを解消できる方法を多数紹介。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。