しかし、それから「失われた30年」を経て、ランキングの顔ぶれは一変しました。

 トップ10にはGAFAMをはじめとするITジャイアントが並び、米国企業が10社のうち9社を占めています。一方の日本はすっかり勢力を失い、トップ50社にランクインしているのはトヨタ自動車(39位)のみとなりました。

2025年にはインドに抜かれ
日本のGDPは世界5位に

(3)GDP

 日本企業の時価総額の話ともつながりますが、金融業や製造業を中心として日本企業が競争力を伸ばした80年代後半以降、日本のGDPも伸び、当時は世界2位の経済大国でした(図1-5)。

図1-5 米中との差が開き続けている同書より転載 拡大画像表示

 しかし、その後は成長力が鈍化し、2009年には中国に抜かれてGDPが3位になりました。その後、GDPで首位を走り続ける米国は1.7倍、中国は3.5倍に成長しましたが、日本は横ばいで差が開く一方です。また、2023年にはドイツに抜かれて世界4位となり、国際通貨基金(IMF)によれば、2025年にはインドにも抜かれて5位になると予想されています。

 これらのデータはいずれも、世界における日本企業の競争力が低下していることを示しています。富士通も例外ではなく、個別ではさまざまな施策によって生産性向上や新たな事業の創出に取り組んでいますが、世界で見れば米中企業に差をつけられている日本企業群の1つに甘んじています。国内で事業をしていると、同業他社も似たような状態のため危機感を持ちにくいかもしれません。

 しかし、日本企業の多くは成長が止まった状態で、人材育成ができず、新商品の開発も停滞しています。また、給料の伸び悩みと非効率な業務によって、人材が他企業に流れています。つまり、成長の源泉であるヒト・モノ・カネの全てにおいて競争力を失っているのが日本企業の現在地であり、私が勤める富士通に限らず、日本の大企業に共通の課題なのです。