「結果にコミットする」でおなじみのライザップ。新型コロナ禍では休業と入会者減により業績が大きく落ち込んだが、近年は「コンビニジム」をコンセプトとする「チョコザップ」の快進撃により、売上が大幅回復している。一方、大規模出店にかかる大きなコストは、同社の経営にどのような影響を与えているのか。佐伯良隆『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』(朝日新聞出版)より一部抜粋・編集してお届けします。
国内ジム会員数No.1
急拡大の売上高
パーソナルトレーニングジムの「ライザップ」をはじめ、健康食品、美容関連商品、インテリア雑貨、アパレルなど、64のグループ企業を有する(24年7月時点)ライザップグループ。
新型コロナ流行時には休業を余儀なくされ、入会員数が激減。減収が続き大きな打撃を受けましたが、当期(24年3月期)は増収となりました。なかでもライザップ関連事業は、前期から201億円(95.0%)の大幅増。その原動力となったのが「チョコザップ」です。
同事業は、仕事や家事の隙間時間に気軽に行ける“コンビニジム”をコンセプトに掲げ、フィットネスマシンのほか、カラオケ、ランドリー、エステ、ネイルなどのサービスが、月額2980円(税抜)で使い放題となっています。2022年7月にサービスを開始すると、会員数は2年弱で120万人を突破し、日本一に(→下表)。
当期の売上高は、ライザップの2.6倍の257億円と急拡大しています(→下グラフ)。
一方で、営業利益は、前期から44億円回復したものの、当期は6億円の赤字。売上原価、販管費ともに対売上で50%を超えており、利益が食いつぶされています。
ただし販管費の上昇は、チョコザップの設備投資増による減価償却費の増加、また広告宣伝費等が前期から86億円増加しているためで、成長のための投資であり、ネガティブな要因ではありません。
また、決算説明資料によると、チョコザップ約1500店舗のうち黒字化済店舗が8割を超えたことから、当期の下半期はグループ全体で52億円の営業黒字を達成。
当期の最終損益は、金融費用が41億円発生したことから43億円の損失となりましたが、赤字幅は前期から84億円減っており、本業は復調傾向にあります。