
日本の大手ITベンダー・富士通の2025年3月期連結売上高は、昨秋公表比で450億円増の3兆4700億円と予想されている(非コアのデバイス事業を除く継続事業ベース)。創業90年の老舗企業が躍進を果たした背景には、2020年頃から推し進めていたビジネスプロセスの変革があった。富士通のデジタルセールスチームの立ち上げに携わり、デジタル技術を活用した営業DXを実現した友廣啓爾氏が、企業の変革に必要なステップについて解説する。※本稿は、友廣啓爾『富士通式!営業のデジタルシフト カルチャーを変え、売上の壁を超える方法』(翔泳社)の一部を抜粋・編集したものです。
企業のサステナブルな成長には
営業DXが必要不可欠
チームづくりの過程には、営業(フィールドセールス)や経営をはじめとするデジタルセールス外から理解や協力を獲得するための外向きの施策と、デジタルセールスのメンバー内で目標やKPI(編集部注/重要業績評価指標。設定することで、最終目標に対する進捗状況を把握しやすくなり、効率的な業務遂行が可能になる)を設定したり、成長に向けたロードマップを策定する内向きの施策があります。本稿では、まず外向きの施策について解説します。そこには、次の2つの目的があります。
(1)フィールドセールスにデジタルセールスの価値を理解してもらう
(2)経営層にデータ活用と営業DXの価値を理解してもらう
1つ目の目的のためには、まずフィールドセールスが新たに「食べられる」案件(編集部注/デジタルセールスが提案する、フィールドセールスが狙いたい企業や業界との商談や取引への道筋)を創出し、強い味方として認知され、信頼される立ち位置を確立しながら、営業活動全体を一緒に変革していくバディの関係を築く必要があります。
2つ目の目的については、営業DX(編集部注/デジタル技術を活用し、営業プロセスやビジネスモデルを根本的に変革する取り組み)のような新しい活動を社内に広げるうえで、経営層の理解と協力を得て、ヒト・モノ・カネのリソースを支援してもらう必要、また、企業のサステナブルな成長に営業DXが不可欠だと考えてもらう必要があります。