15歳~69歳の男女1200人を対象に、普段の生活でのタイパ意識について聞くと(複数回答)、58.0%が「タイパを意識して行動している」と答え、78.5%が「なるべく早く正解にたどり着きたい」、71.5%が「なるべく無駄な時間は過ごしたくない」と答えています。

 現代人の多くが、日常的に時間効率を重視している様子がうかがえます。

 また、生活の中でタイパを重視する理由として、「効率よく情報を得たいから」「無駄なことに時間を割きたくないから」が上位をなしています。

ドラマや映画の倍速視聴は
本当に「タイパが良い」のか?

 タイパを考える時によく例に出されるのが、ドラマや映画、動画の倍速視聴です。「テレビや動画を観る時間を短縮したい」「会話についていくために、話題のものは一通り観ておきたい」といった理由で倍速視聴を好む人が増えているのです。

 これもまた、ドラマや映画を何のために観るのか、という目的が重要です。

 周りの人との会話についていくためであれば、ドラマや映画は「会話に必要な情報を得る」ことが目的になります。それならば、タイパを意識した倍速視聴は理にかなった選択だといえるでしょう(そのよし悪しはここではおいておきます)。

 けれど、リラックスやリフレッシュをするために、ドラマや映画そのものを楽しみたいのであれば、タイパを意識する必要はありません。

 倍速視聴では、ドラマや映画をじっくりと味わうことはできないからです。

 タイパの目的は一体何なのか。確かに、タイパは限られた時間で成果や満足感を得るうえで、必要な視点ではあります。

 しかし、目先の効率化に目を向けるあまり、長い目で見た「人生の充実」からかけ離れてしまっているのではないかと感じるのです。

「経験をする」という機会を喪失することは、人生が機械的になっているように感じます。目には見えないけれど、実は、人間にとって大きなダメージになっているのではないでしょうか。