「タイパがすべて」じゃない
立ち止まる時間の充足感

「セイコー時間白書2024」でも、タイパが定着した社会の中で、「何においてもタイパのよさを求められることに違和感がある」が52.9%と、半数に及んでいます。

 また、73.8%の人が「時には立ち止まってひとつのことを考えたい」と答えている一方で、52.4%は「立ち止まって考える時間が取れていない」と答えています。

 また、49.8%は「何もしない時間を増やしたい」と答えていますが、35.9%は「何もしない時間は怖い・不安だと思う」と答えています。

 立ち止まってじっくり考えたい、何もしない時間を増やしたいと思う半面、何もしない時間は逆に不安に感じてしまう……。そんな相反する考えが共存し、どちらにも定まらず戸惑う様が感じられるといいます。

 まさにこの状態が、もったいない時間の使い方になっていると思うのです。ここで大事なのは、「タイパ」か「じっくり」か、究極の二択にしなくていいということです。

 やることによって、タイパを意識するのか、じっくりと時間を使うのか、自分で手綱を握るのです。つまり、24時間をどう使うのか、自分で決めるということです。

 その時に注意すべき点が、目先の「時短・効率化」にとらわれすぎないということ。趣味の時間や何かに没頭する時間、リラックスするための時間も、効率を考えずに時の流れに身を任せると心身のリセットになります。心の充足になり、その時間だけでなく、その後の時間も豊かなものになるのです。

 そして24時間の時間の使い方は、自分を主語にして決めていくことが大切です。先ほどの例ならば、「周りの人との話についていくために倍速で動画を視聴する」ではなく、「自分が早く結末を知りたいから倍速で視聴する」と、他人軸から自分の行動を決めるのではなく、自分軸で時間の使い方を決める。「何もしない時間は怖い・不安だと思う」のは、他人の目や世間一般を気にしすぎているからではないでしょうか。

 はじめはドキドキするかもしれませんが、「自分がこうしたいから、こうする」と決めると、時間に対する満足度は自然と上がっていきます。