【なるほど世界史】産業革命って何? 11文字に要約すると?
「地図を読み解き、歴史を深読みしよう」
人類の歴史は、交易、外交、戦争などの交流を重ねるうちに紡がれてきました。しかし、その移動や交流を、文字だけでイメージするのは困難です。地図を活用すれば、文字や年表だけでは捉えにくい歴史の背景や構造が鮮明に浮かび上がります。
本連載は、政治、経済、貿易、宗教、戦争など、多岐にわたる人類の営みを、地図や図解を用いて解説するものです。地図で世界史を学び直すことで、経済ニュースや国際情勢の理解が深まり、現代社会を読み解く基礎教養も身につきます。著者は代々木ゼミナールの世界史講師の伊藤敏氏。黒板にフリーハンドで描かれる正確無比な地図に魅了される受験生も多い。近刊『地図で学ぶ 世界史「再入門」』の著者でもある。

【なるほど世界史】産業革命って何? 11文字に要約すると?Photo: Adobe Stock

産業革命を11文字で説明すると?

 近代という時代には、近世以前の時代には見られなかった、大きな転換が生じます。

 その転換とは、「産業革命」と「ナショナリズム」です。このため、近代は「理性と中央集権の時代」であるとともに、「産業革命とナショナリズムの時代」であると見なすことができます。

 では、その産業革命とナショナリズムとは何か? これらの萌芽はすでに近世以前にも見られましたが、急速に形を整えたのが近代の初期だったのです。

 産業革命から早速見ていきましょう。まず、そもそも「産業革命」とはどのようなものか、その概念から追いかけていきます。

「産業革命」とは何か? 簡潔に説明せよ。

 さて、いかがでしょう?

 では、ここから解説ですが、まずは言葉の意味から。

 産業革命は、英語ではthe Industrial Revolutionと言います。Revolutionはもちろん「革命」という意味ですが、ここでは平たく「大変化」というニュアンスで捉えます。

 では、Industrialはどうでしょう?

 こちらも「産業の」という意味もありますが、本来の意味は「工業の」です。これらを合わせると、the Industrial Revolutionとは、「工業での大変化」というニュアンスがより直訳に近いと言えます。これを踏まえると、「工業化」と訳すことができます。

 したがって、産業革命は別名を「工業化」とも言います。これで大分イメージが容易になったのではないでしょうか。では、「工業化」とは何を指すのでしょうか? これが指すことは「生産手段
の革新」であると言えます。そして「生産手段の革新」とは、「機械による生産の本格化(11文字)」です。

 それまで手作業を中心にモノ作りを進めていたのに対し(手工業)、機械による生産が取って代わる(機械工業)ということですね。この産業革命、あるいは工業化の促進により、工場に労働者が集約され生産活動に従事するという、工場制機械工業が登場します。

 産業革命(工業化)の結果、従来の手工業では到底実現しえなかった圧倒的な生産性を手にし、人類はいよいよ、大量生産の時代に足を踏み入れることになるのです。

(本原稿は『地図で学ぶ 世界史「再入門」』の一部抜粋・編集したものです)