タイミング療法や排卵誘発剤による治療などは、健康保険の対象。3割を自己負担すればいい。

 体外受精や顕微授精については、自治体や国から治療費が助成されることになっている。1回の治療につき15万円まで。初年度は年3回まで、2年度目からは年2回を限度に5年受けられる。つまり全部で10回までということだよね。

 ただし、「夫婦あわせて所得が730万円未満」などの条件つき。 さらに、今年度からは凍結胚移植などについては半額の7.5万円が上限になった。

 いずれにしても、体外受精や顕微授精などにかかる費用は1回あたり平均30~50万円。助成を受けられたとしても、自己負担の額は相当なものになってしまう。

 しかも、「今回の調査を見てみると、前回と比べ、治療費全体が値上がり傾向にあるようです」と松本さん。

「理由は――そうですね、治療手段が増えたおかげで、いろいろコストが重なっていることもあるでしょう。たとえば採卵した精子や受精卵を保存するには、それなりの設備が必要です。もちろん、優れた技術力も欠かせません」

 治療費以外の負担もバカにならない。

 通常、女性は自分の生理周期に合わせて通院するんだけど、注射や採卵、検査などで、何日も続けて通わなきゃいけないことが多いんだ。調査によれば、3人に1人が1周期あたり1万円以上の交通費を払っているという。遠くの医療機関に通院している場合は、宿泊費もかかってしまう。

「誰にも言えない…」
キャリアと母性の間で葛藤する女性たち

「高額の治療費を払い続けるためにも仕事は辞められない――」。そう考える女性は多いはず。ところが困ったことに、働きながら治療を続けるのはけっこう難しい。

 まず、時間の問題がある。前にも説明したように、毎月数日~1週間以上かけて、医療機関に通わなければならないケースが多いからだ。

「治療や検査に時間がかかるうえ、待合室はたいてい混んでいて、3~4時間待ちも珍しくない。行き帰りの時間も含めると、少なくとも半休は取らなければなりません。卵子の状態次第で治療日程が変わることがあるので、よけい会議や出張の予定を入れづらくなってしまう。やむなく会社を辞め、派遣や契約の仕事を探す人も多いですね」

 そんなこともあってか、通院していることを周囲に隠す人もいる。