日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。
国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――出生や死亡の見込みが中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦直後の人口とほぼ同じ規模だ。
どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?
――この連載では、高齢になった未来の私たちのため、そしてこれからの時代を担うことになる子どもたちのために、日本の将来をいろいろな角度から考察していきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。
ひとりで買い物できない。電話がかけられない。バスや電車で外出できない。やがて入浴や歩行、階段の上り下りもできなくなる――。
2030年、そんな「ほうっておけない高齢者」が現在よりも1000万人増えることが、東京大学高齢社会総合研究機構の調査であきらかとなった。そのとき、日本はどんな国になっているんだろう。そして、みんなが幸せに老いるために、今できることは何だろう。
調査を行った同大学の特任教授 秋山弘子さんに詳しい話を聞いてみた。
65歳は「高齢者」?
現実と矛盾する国の定義
みんなも知っているように、今、日本の高齢化はどんどん進んでいる。2030年には65歳以上が3人に1人になる見込みだ。国立社会保障・人口問題研究所によると、20~64歳の現役世代1.7人が1人の65歳以上高齢者を支える社会になるという。
でも、ちょっと考えてみてほしい。今どきの“65歳”って、本当に高齢者なのかな。ちなみに、1947年生まれの有名人といえばビートたけし、高田純次、栗原はるみなどなど。若い人に負けず、元気いっぱい活躍している人が多い。
「そのとおり。じつは高齢化の問題は65歳以上の高齢者が増えることではありません」と秋山さん。
本当に深刻なのは75歳以上、つまり“後期高齢者”人口が急増することだ、という。