税理士が上場株式の物納を
おすすめしたい2つの理由

 資産家ではなくても相続税の納付に直面する人は多く、今後も納付に悩まされる人は増加すると考えられる。そんな時に上場株式が手元にあるなら、相続税を上手に乗り越えられる可能性がある。上場株式の納付をおすすめしたい理由は2点挙げられる。

 まず、文中で少し触れたが、上場株式の物納は不動産と比較すると非常にスムーズである。不動産の物納は売却できそうな不動産しか認められにくく、実際に不動産の物納数は少ない。しかし、上場株式なら外国の株式ではないかなど、確認すべき項目も少なく、物納が認められやすい。また、相続開始後に大幅に株価が下落しても影響を受けずに物納できる。より迅速に相続税問題を解決するためには、上場株式の物納はおすすめできる。

相続の方向性で納税金額が決まる!
押さえたい注意点

 相続税の納税方法は相続人ごとに決めるため、誰が何を相続するのかが重要である。たとえば、不動産を多く相続する人は高額の相続税額になりやすく、思わぬ納税額に困惑してしまうケースも少なくない。

 相続するはずが結局不動産を物納せざるを得ない、という事態を避けるためにも、生前から相続税対策として、家族揃って納税のシミュレーションを行っておくことが望ましい。シミュレーションの結果、納税に不安がある場合は、あらかじめ財産の売却などの対策を検討しておくことも大切だ。

 本記事では上場株式による相続税の物納について詳しく解説した。株式を所有する方が増加の一途を辿っている今、物納しやすい財産として上場株式を活用する方法は知っておくことがおすすめだ。2006年度の改正により物納制度は申請のハードルが上がったものの、上場株式は順位の変動があり使いやすくなっている。

 相続税の物納は相続税申告と同じスピードで進めていく必要があり、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10カ月以内に手続きを終えなければならない。申告や物納について詳しく知りたい場合は、相続税に強い税理士へ相談してほしい。