究極の「租税回避策」ともいえる、日本国籍離脱。なんと相続税などの回避のために実際に使われることも多いとか。実はそのための「国籍の選び方」にもちょっとした裏ワザがあるという。特集『海外の節税 富裕層の相続』(全21回)の#6では、国籍離脱、仮想通貨からパナマ文書まで話題全部盛り、富裕層の節税の実態に詳しい金融関係者、税理士、資産家によるぶちまけ座談会の中編をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
長谷川忠宣 日本人資産家、マレーシア在住
佐嶋一平 税理士
沢田信次 税理士、シンガポールでの営業経験あり
大滝五郎 富裕層の資産運用業務に従事
舟形義彦 元外資系プライベートバンク勤務
実はそんなに重くなかった「国籍」、マイルで交換できる景品並みに簡単離脱も!
――海外の租税回避・節税手段は日々ふさがれている、という認識でいいんでしょうか。一方で仮想通貨はまだ有効だとも聞きますが。
長谷川 海外で節税しようとしても、基本は繰り延べになるんですよね、まともにやれば。あとはお金にご執着ある方でしたら国籍変えちゃうしかないですよね。
――租税回避で国籍離脱ですか。そういう人は結構いるんですか?
長谷川 いますいます。特に相続税は。早く行い過ぎると受け取る側の非生存リスクがまだ高いので、相続対策を20~30年前からやる人はあまりいない。大体はがんになってしまって対策を急にする必要が出てきたけれど、回避できないので相続税がないまたは税率が低い、ミクロネシアにあるような小さい国の国民になった、などのようなケースです。
昔は(※1)5年以上、受ける方も渡す方も海外に出ている人であれば出ていった国の法律が適用されたのが、10年に延長されたのでハードルは上がりましたけれどね。
沢田 僕が聞いたことがあるのはマルタ国籍を取りたいって人ですね。相続税がかからないこともそうですが、国籍が取りやすくないとなんで。
長谷川 マルタは長期ビザも簡単に取れますからね。
佐嶋 幾ら積めばいいんですかね、1億円くらいかな。一番安いのはアフリカのどっかで本国に行かなくてもいいというやつ。でもその国、毎年政変が起きるとかいう超危ない国で(笑)入れたお金もどっか行っちゃいそう。
――それはそれで怖い。ちょっと仮想通貨の話にいく前に、国籍離脱の話をもっと詳しく教えてください。節税するなら何国人になるのがお勧めとかあるんでしょうか?国籍を取得しやすい国はありますか?