健康診断で血糖値は正常でも
「問題あり」の可能性

 昼食後眠くなって小腹が空くので「手近にある甘いものを食べ、エナジードリンク(糖質が多く含まれる)で眠気を覚まそうとしている」という人は、さらなる血糖値スパイクを招く可能性があるので、要注意。なお、多くの人は昼食から1~2時間後に糖質疲労を感じるが、朝食後に血糖値スパイクが起こっている人も一定数いる。

「出勤時に必ず電車で居眠りをする、という人は、朝食後の血糖値スパイクが原因かもしれません」

 健康診断のときに血糖値の項目で引っかかったことがないという人も、「一度は食後高血糖が起こっていないかどうかを確かめるべき」と山田氏は警告する。

「健康診断で調べているのは、空腹時血糖値(正常110mg/dl未満)で、文字通り空腹時に測っています。一方、食後高血糖は、食後の血糖値の上がり幅が大きく140mg/dlを超えることを言い、健康診断の数値からは判断ができません。近年の研究で、空腹時血糖値が異常になるのは糖尿病発症の1~2年前であるのに対し、食後高血糖は空腹時血糖値が異常となる10年ほど前から始まると考えられています」

 つまり、食後高血糖は10年先の糖尿病の発症を予測する重要なサインともいえる。中国で10万人を対象にした大規模研究では、成人の2人に1人が食後高血糖を起こしていた(JAMA. 2017 Jun 27; 317(24):2515-2523.)。山田氏は、日本人も同様の状態であると推測している。

 実は、食後高血糖を手軽にチェックできる方法がある。薬局やドラッグストアで「検体測定室(ゆびさきセルフ測定室)」の表示があるところを探そう。500円ほどの費用負担で、自分で指先から採取したわずかな血液を分析し、数分から10分程度で血糖値を確認可能だ。

「例えば、おにぎり2個と野菜ジュース1パックを取ると、合計の糖質量が100gほどとなり、典型的な日本人の1食程度の糖質量になります。これらをセットで食べて、食べ始めから1~2時間のタイミングで血糖値を測定してみましょう。食後の血糖値が140mg/dL以上であれば食後高血糖と推定されます。200mg/dLになるようであれば糖尿病の可能性があるのでなるべく早く医療機関を受診してください」